【ワシントン=柿内公輔】米金融規制当局は9日、大手銀行を対象にした独自の資本規制強化案を発表した。主要国の金融当局が合意した国際的な自己資本規制「バーゼル3」の約2倍に当たる最大6%の自己資本の上乗せを求める。国際基準よりも厳しい規制を課すことで、大手銀が破綻して金融危機が再発するのを防ぐ狙いだ。
バーゼル3は普通株を主体とする「中核的自己資本」の比率を7%とし、大手銀行は自己資本を最大2.5%上乗せするよう要求。2019年に完全実施する。
これに対し、米当局は一段の資本強化を求めており、金融持ち株会社の場合は5%、預金を扱う銀行は6%の自己資本を上積みする。
対象となるのは、総資産が7000億ドル(約71兆円)超の米銀大手で、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)やシティグループ、JPモルガン・チェースなど8社。日本の金融機関は含まれていないが、今後、国際的な資本規制の議論にも影響を及す可能性もある。
意見公募を経て、18年1月までの実施を目指すが、米金融界からは「国際競争力が低下する」などの反発も出ており、実現には曲折も予想される。