フルボトルはポンポン開ける訳には行きませんので、都度都度備忘録として書き残していきたいと思います。
今回はキリンシーグラムの特級表記エンブレムです。発売が1979年ですので、1979年から等級制度が廃止された1989年までの間のボトルということになります。
富士御殿場蒸留所のモルト・グレーンが市場に出せる熟成に達したタイミングで発売した、キリンにしては記念すべき自社熟成樽をブレンドした初のウイスキーになります。
とはいえ御殿場の原酒だけではブレンドを賄いきれず、シーグラム社やシーバス社の原酒をバッティングしています。
状態は若干表面のラベルが日焼けしている感じですので、日中数時間陽が当たるサイドボードの前面に置いてあったようなボトルなのでしょう。液面低下はなく金属キャップですので、心配は紫外線の影響くらいですかね。
キリンシーグラムのウイスキーは中古市場でまったく人気がありませんので、非常に落としやすいです。このボトルも1,000円以下でしたが、競ることなく入札1で落札しました。
送料入れても2,000円以下でしたが、その価値があるのか試飲したいと思います。
試飲ってレベルの減り具合じゃないのはご愛嬌ってことでw
細かいテイスティングノートみたいなことはやる気も知識もありませんのでしませんが、これが2,000円以下なら胸を張ってオススメできます。
陽焼けの影響は感じません。もう一本同じ時期のエンブレムがあるんですが、比較のためにボトル開けるのも嫌なので、比較はこのボトルが空く寸前に行います。
2本を並べると若干このボトルの方が色が薄いので、陽焼けの影響はゼロではないでしょう。でも今の所気になるところはありません。
割と軽めで香ばしい味わい。レーズン感やバニラ感、そして樽感と甘味、それぞれがそこそこで突出していないのがいい感じ。
価格的にサントリーローヤルにぶつけてきた商品なんでしょうが、ローヤルは甘くてフルーティーなのに対して、エンブレムは硬派で男性的な印象です。
キリンのウイスキーにありがちなバーボンっぽいエステリー感もありませんし、飲み疲れしない、ずっとちびちび飲んでいられるタイプのウイスキーですね。
加水で甘味は増しますが、余計な樽感の強調はありませんので、どんな飲み方でも対応できる万能感があります。とはいえおすすめはストレート。特級ジョニ赤のようなむせかえる芳香はありませんが、それが逆に飲み疲れしない感じで、書斎で落ち着いて靴磨きでもしながらゆっくりじっくり飲むみたいなシチュエーションに合いそうです。
普段飲みのボトルの中に一本用意しておきたい、落ち着いて何かしながらちょっと飲むかって時に、何となく手が伸びるウイスキーって感じのボトルです。
同じくキリンから発売されているロバートブラウンの上位版のウイスキーでしたので、現行の2,000円程度のウイスキーにはない熟成感や芳香があります。
逆にアルコールの尖ったパンチがお好みの人には現行のジョニ黒とかの方が合うんでしょうが、このまったりとした熟成感はある程度のお金を出さないと味わえない感覚です。
15年物と言われても納得してしまう完成度ですよ。ビン熟成かもしれませんが。
甘すぎず飲み疲れしない、すいすいと入ってきてしまういいお酒です。ついつい飲み過ぎてしまうのが欠点かもしれません。
期待してなかったけど、長く付き合えそうないいお酒です。良い状態の物が安く出品されていたら、都度コツコツと落札して貯め込んでおきたいと思える意外な伏兵でした。
ではでは。