片想いの醍醐味ってある
恋愛から遠ざかって、もうどのぐらいになるだろう
独身に戻って、10年近い日々が流れた
夫とは大恋愛だったため、もう2度と恋はないだろうと思っていた
こころが動かない
ときめきさえない
独りになって、生きるのに精一杯
前だけ向いて、ただただ一生懸命だった
不思議なもので、生まれた街に出もどってきてから
やたらもてる
（決して自慢話ではありません）
本人がびっくりするくらいだ
一瞬、自分は17歳に戻ったのかと錯覚さえ覚えそうだった
それでも、こころは動かない
この先は、女ひとりで生きていこう
決意というほど強いものではないが
漠然と自分の将来は描いていた
私のまわりには、独身女が実に多いから…
歳をとっても、みなで助け合って暮らして行こうね
そんなことを話し合う年代に突入している
（あ、まずい）
秋風が吹く頃、そう思った
恋に落ちそうな予感がしたから
私には要らないものだと思っていたから
でも、落ちてしまった
仕事関係の人です
仕事関係の人なので、仕事関係で週に一度くらいは顔を合わせます
若い頃は、恋に落ちそうになるたび、この曲を口ずさんでいた
「はぐれそうな天使」
私のこころをそのまま表したような歌詞で
口ずさんでは苦しい心を慰めていた
毎回、恋のはじまりにはこの曲がつきものだった
大昔のことである
ところが今回も
この歳になっても、この曲が降ってきた
口ずさんでいる
恥ずかしくてたまらない
人生ってわからない
みなさん、どうか温かく見守ってやってください…
はぐれそうな天使
足元くすぐる波さえ
少し遠慮がち
私は無邪気になれずに
海と話してる
あの人のこと 気にしすぎてる
友達が言い笑うつもりが
泣きそうになった
恋したら騒がしい風が吹き
はぐれそうな天使が
私の回りで慌ててる
恋したら 雲の流れも早く
はぐれそうな心が慌てる
見つめているだけで不意に
熱くこみあげる
あの人にも気付かれてる
隠せない心
夢はいくつも飛び越えたのに
まるで少女のときめきほどに
歯痒い気分で
潮風に身体ごとさらしたら
すこしは楽になると
思い立った私が不思議
潮風に逆に煽られそうな
危うい恋心に慌ててる
