シミュレーション仮説か、胡蝶の夢か。
南国の島で戦士した先祖の従軍手帳が子孫の手に渡り、それからおかしなことばかり起こる。キーワードは火喰鳥です。極限の飢えに襲われた先祖はおそらく戦友を食べたのでしょう(以下ソレと表記します)。本作ではそれは明示的に語られていないものの容易に想像できます。
もしソレをしなかったら世界はどう変わっていたのか。本作では大きく2つに分岐した世界がそれぞれの視点の中に取り込まれます。片方からは夢・幻でも、他方では現実なのです。
本作は単に幽霊などありふれた要素に頼らず一抹の真実味を残したことで辛うじて考察に耐えうるものになっていると思います。誰もこの世がシミュレーションで無いことを証明できないのですから。
2025年通算204本目
