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セ・リーグ2位の巨人は14日、阪神21回戦(東京ドーム)に4-0で勝利した。香川・高松商高からドラフト1位で入団して2年目の浅野翔吾外野手(19)が、四回に今季初安打となるプロ初の満塁本塁打を放った。10代の満塁本塁打はプロ野球史上16人目の快挙。ヘルナンデスが左手首の骨折で離脱する緊急事態の中、12日に1軍に昇格したホープが大仕事をやってのけ、本拠地ではレギュラーシーズン最後の伝統の一戦に勝利した。

バットを短く握った。気迫と執念で最高の結果を生み出した。0-0の四回2死満塁。「8番・右翼」で先発起用された浅野が1号満塁弾。万雷の拍手を浴び、初めて上がった本拠地のお立ち台からの景色をかみしめた。

「まさかヒーローになれるとは思っていなかったので、めちゃくちゃうれしい。詰まってでも1点を取りたいと思っていた。短く持って打った結果がいい形になった」

及川のスライダーを強振。放物線を描いた打球は虎党が陣取る左翼席に着弾した。「原点に戻ろう」と登場曲に採用した母校・高松商高のチャンステーマに乗って、今季13打席目で初安打となる値千金の一発。10代での満塁本塁打は2019年のヤクルト・村上以来、5年ぶり16人目。19歳8カ月はセ・リーグでは4番目の年少記録だった。

「大人」になって帰ってきた。開幕1軍入りを果たしたが、不振で4月8日に出場選手登録を外れた。阿部監督から「たまには変化球を待ってみようとか、そういう練習も必要」と課題を告げられ、配球面の勉強など頭と体を鍛えた。何でもかんでも(ボールに)がっついていて。もうちょっと大人にならないといけないなと」。寮の部屋でユーチューブの動画を見ている際も頭の中をめぐるのは打撃のこと。高校時代に指導を受けたイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)から貰ったバットを握って打撃フォームをチェックし、夜食後には室内練習場で1時間の打ち込みを行う新ルーティンに励んだ。

「(及川は)スライダーが一番いいボール。頭ではかなり比重としてあった」。大人の駆け引きを身につけた19歳が一振りでメモリアル弾をもたらした。

高松商高2、3年夏に出場した甲子園大会では計5試合で4本塁打。夏にめっぽう強いが、打席だけでなく、グラウンド外でも盛り上げ上手だった。3年時に行われた体育祭。体育教師に「浅野、盛り上げろ」と無茶ぶりされ、全校生徒の前で昨年引退した松田宣浩氏の代名詞である熱男ポーズを披露した。昔から大一番での勝負強さがあった。

不動の3番としてチームを支えたヘルナンデスが左手首の骨折で離脱する中、今月12日に1軍に昇格。若武者の活躍で本拠地ではレギュラーシーズン最後の伝統の一戦に勝ち越し、阿部監督は「『打てなかったらすぐサヨナラするぞ』と。それは冗談だけど『思い切ってやれ』と言った。びっくりした。自信につなげてもらいたい」とたたえた。

「打てない時、たくさんの人に支えてもらいながら、常に自分が感謝する立場だった。打つことによって、いろんな方に自分が感謝される立場になれると思う。たくさんの人に感謝されるようになりたい」と浅野。首位広島とは1ゲーム差。たくましくなって戻ってきた背番号51が、4年ぶりのV奪還を目指す阿部巨人を勢いに乗せる。(樋口航)