自称ブサイク男性に秋葉原事件や世の中について聞く～その3

昨年起こった「秋葉原連続殺傷事件」の犯人は自分の容姿を自ら「ブサイク」と呼び気にしており、そこから来る劣等感なども犯行原因のひとつとなったとも言われています。
またネットでは「非モテ」という言葉が浸透し、女性にモテない男性達やその事について議論や話題に挙がっています。
実際に顔にコンプレックスを持っている男性は、自分や世の中について、どの様に考えているのでしょうか？
実際に「自称ブサイク」という方に話を聞いてみましたのでご紹介します。
今回は、「秋葉原連続殺傷事件」の犯人について聞いた時のコメントをご紹介します。

【質問】加藤容疑者に対しての意見、コメントを聞かせてください。（「オレは加藤の気持ちがわかる！」など）

【Aさん】貴方は怒りの矛先を間違えたとしか言えません。
貴方は不細工を理由に世間への不満をぶつけただけじゃないですか。
僕は彼の行為が非情に迷惑で憤りを覚えます。ただ、僕は彼より恵まれた立場なので…深く責めることも出来ませんが…。

【質問】加藤容疑者は「世の中の『ブサイク』のイメージを失墜させた」という点で「迷惑」なのでしょうか？

【Aさん】世の中の不細工が『犯罪を犯す』というイメージで見られるんじゃないか、という思いです。
しかも彼はオタクだったという報道もあります。
“不細工でオタクは要注意”というレッテルを貼られそうで非常に嫌です。
特に周囲の人間からは『お前は第二の加藤になるかもな』
と言われたりもします。
僕が普段から持っているイケメンへの劣等感と、オタク気質が原因だとは思うんですが
あと、僕は「人を傷つけるなら、自分を傷つけます」。
でも、彼が僕と同じ事を言われて救いのきずな（彼女+会社+学歴）がなかったら・・と考えると、してしまうと思います。彼は心が弱かった。

【質問】「彼より恵まれた立場」というのは、どんな意味ですか？

【Aさん】彼は派遣でしたが、私は正社員として大手のグループ会社に居ます。
また、周囲には「奇跡」と揶揄されましたが、彼女も居ます。
良い思い出はありませんが、過去にも彼女も居ました。彼はブサイクで女性とのつながりが無かった。
でも、僕には女性との繋がりが出来た。
今でも顔が芋洗坂係長に似ているとか、金正男に似ている、20台に見えず40台で通る面構えと言われても…『お前らは顔が良くても女が居ないじゃないかっ！』と、思うことで何とかやっている感じです。
自分がブサイクと言われても、相手より優位に立てる『何か』があるということが、彼より優れている点かなと思います。
逆に2つの点が無ければ、僕は彼よりブサイクですので、僕は彼より劣っているかも知れません。

【質問】大学法学部卒業の「学歴」+有名企業での「正社員」+「彼女」という3つがある現在は、充実していますか？

【Aさん】たしかにそうですね。でも今後を考えると不安です。
この3つがあるから「社会に必要とされてる」と思えるんです。しかし年をとると、もう一つ増えて4つないと・・・。例えば、「持ち家」ですね。
さらに、自分の欲望は止まらなくて、だんだん、彼女は「結婚」へ、正社員で満足していたのが「さらなる収入」へと、エスカレートしていくと思うんです。
周りの人は「十分じゃないか」と言うかも知れませんが。

【質問】「学歴」+「正社員」+「彼女」の優先順位は？

【Aさん】やっぱり彼女ですね。その次に正社員です。

【質問】では仮に「彼女はいるけど、高卒でアルバイト」という状況だったらどうですか？

【Aさん】きついですね。彼女だけではむり。3つあるからなんとかバランスを保っているんです。
3つがあるから、イケメンに対抗できていると思うんです。これがひとつでもなければ、自分はどうなっていたかわからない。
「顔」という外見がダメなぶん、「肩書き」や「お金」などの“外見”にこだわるんですよ。

【質問】加藤容疑者はブサイクだと思いますか？

【Aさん】普通よりやや下じゃないでしょうか。年より老けた感じはしますが…

■一見、「勝ち組」とすら思えるほど充実しているAさんですが、顔に対するコンプレックスは事のほか大きく、深い心の傷が見え隠れしています。
（その4へ続く）

[ツカサネット新聞 掲載記事]文章/絵：白石ニョッキー