「パンを低温で熟成させると旨みが出るという事は具体的にパンの何が旨みとなるんですか?」という質問を受けました。

 

昨晩寝落ち寸前で書いたのですごく小難しくて分かりにくいので結論を先に書き足しました。

 

人間が感じる「旨み」はパンでいうとやはり「糖」。人間の脳は糖があると「美味しいから食べろ」と指令が出るのが本能。またその糖も小麦デンプンが分解されてできる麦芽糖が肝。

あのバゲットの焼ける何とも言えない香りは麦芽糖の焼ける匂いらしいです(ブドウ糖が焼ける香りはまた別)

 

低温熟成という事で、考えられるのは

①水和によるしっとり感

②イーストが食べ残した糖(低温なのでイーストがエサ(糖)をあまり消費しなくなる)

③イーストがアルコール発酵する(低温なので良い香りのアルコールを出す)

これが考えられるメイン。でも使う小麦や捏ね上げ温度やイーストン量や他の微生物によりかなり変わるから一概に言えない。でも旨みを感じる大半は糖なのでその糖をどうやって作りだすかは小麦(酵素活性が強いのか・損傷デンプンが多いのか、他の菌が沢山いるのか否か)だったり温度だったり酵素(後入れ)だったりするので、要因は1つに限定できないし、目に見えない物なのでいいだしたらキリがない。要は美味しければよいのです。

 

まず、パンの低温という定義ですが何度を指しているのかが問題です。

①冷凍庫(-12度家庭用)なのか

②チルド(-4度)なのか

③冷蔵庫(4度)なのか

④野菜室(7度)なのか

 

①の冷凍庫や②は、チジミほうれん草みたいに「凍ってたまるか」となり酵母がすごくいろいろな物質を作り出して美味しくなる(すみません詳しくないのですがそんなところ)らしい。

※その代り、酵母が死んでしまう(どれぐらい死ぬかは分からない)

 

②チルドも同じ。パン屋さんのシェフが「マイナス5℃~15度帯って面白いよね」という話を聞いたことがある。やっぱりかなり深みがある味になったら利するらしい。

 

③はいわゆる冷蔵庫

④は野菜室なので冷蔵庫より生地が冷える速度が遅いしい

 

今日話すのは③と④

 

低温熟成ってことは低温だから時間を長く引っ張れるという事で熟成と取る。

 

では低温になった生地の中で一体何がどのようになっているのかを考えます。

乳酸菌とかいろいろ他の菌の事を考えすぎると分け分からなくなるので、

主に酵母と酵素に注目したいと思います。

 

まず長時間発酵がかかる事によっておこる利点を考えると

・水和がしっかりする(12時間で小麦の中心までゆっくり水が入るのでオーブンに入れてた時も水とびが遅い=日持ちする(パサパサしにくいというだけで本来の腐敗しないという日持ちではない)これらの図式があると思います。

 

そして、

①香りがよい(アルコールの心地よい香り

②味がよい(深い・甘い味がする)

 

ポイント!!

①香り→酵母

②深い味→酵素

 

 

①はイーストが行うアルコール発酵による代謝循環です。

イーストは酸素が無かったり、温度が低いとTCA回路(呼吸系)ではなくアルコール発酵を行います。またそのアルコールはアルコールでも温度によって出る香りが違うようです。

低温の方がフルーティーな香りの要素が強くなるようです。

 

では②は?

これをよく混同しがちです。

②は酵素が主に行っています。

小麦のデンプンをアミラーゼが分解して糖にします(糖化作用)

そしてタンパク質をプロテアーゼが分解してアミノ酸にします。

脂肪はリパーゼが分解して脂肪酸へ。

※もちろんこれ以外の酵素は沢山ありますが主にという事でこの3つを例挙)

 

でもって、生地の中でいろいろ微生物が行う行為はあります。

 

まず深い味ですが、重に酵素が行う糖化がメインです。

というのも、プロテインもアミノ酸になり「アミノ酸=旨み」とあるそうですが、量が少なすぎて人間の味覚では到底感じる事が出来ないレベルという話も聞きます。

でも私は、アミノメイラード反応もパンの焼きに少しは関係してくると思っています(主にキャラメリゼして焦げるがメインでメイラード反応は少しだそうです・・・)

 

だから、生地中のデンプンをいかにどれだけ「糖化」出来るかが肝だと思っています。

 

乳酸菌が乳酸や酢酸を出す。

イースト(酵母)がアルコール発酵を行う

 

これによって複雑な味わいが出てくるのですが、乳酸菌もイーストも要はエサは「糖」です。

 

という事で、パンを食べたときに「美味しい」と思える熟成した深い味というのは主に酵素がメインだと思ってよいです。

 

結局、そこで問題になるのが、

酵素が糖を作る量よりイースト>乳酸菌が食べる量

だと深い味わい!となります。そしておいしそうな焼き色もつきます。

でも逆だと

薄い麩のような味になる

 

そこで考えるといかに酵素が働く環境をつくるか、

それとも酵母が食べる量を減らすようにするのか。

 

このどちらかです。

簡単に言うと酵母が少なければ糖を食べる量も少ないです。

でも酵母が少ないとアルコールの香りとかはあまり期待できない。

 

熟成と一言に行っても「酵母が出すアルコール」なのか「深い小麦の味わい」なのか。

これをどちらにするか決めるしかないです。

 

そしてやはり深い!美味しい!と感じるのは生地の糖の残存量だと思います。

※糖といっても麦芽糖。麦芽糖は独特のパンの焼き色や艶感や旨みを出します。

 

じゃあ糖の残存量はどうしたらよいのか?

 

それは温度を低くするとイーストは省エネモードになります。

 

私は2倍に膨らむ生地の場合、どうせ同じまでふくらませるのだから温度が高かろうが低かろうが2倍にする作業量は同じだから、イーストが糖を食べる量も同じ!と思っていたのですが、どうやら違うらしい。冷蔵庫に入れると同じ2倍にするのも省エネモードになる。

 

じゃあ捏ね上げ温度を10度にしていいですか?

駄目なんですよ。冷蔵発酵にしても捏ねてから2時間ぐらいはフロアに出してあります。その時にちゃんと酵素が働ける環境を作ってください。

酵素には最適地があって温度が00の時に一番活性が上がるという事があります。

 

酵素は酵母に比べてその働く温度帯が高めだとも言われています。
だから捏ねてそく冷蔵庫は酵素が働く暇がないんです。

 

難しいのですが、そのバランスです。だから18度帯は酵母もゆっくりじっくり働くし酵素も活動し始めます。だからイースト0.02とかにしてゆっくり発酵させていくのです。

 

私もバゲットで今これで悩んでいるのですが(うまくいかん)

ちゃんといつのタイミングで酵素を働かせて、どれぐらい酵母が食べてしまうかを考えていく。

だからイースト0.2とイースト0.02だとどう考えてもイースト0.02の方が甘くなると思いますよね(糖を食べられる量が少ないので)でも、イースト0.02だと発酵時間が長くかかりますよね。その分フロアタイム(常温煮出してれいぞうこに入れるまでの時間)が増えてしまうです。そうすると意外に甘くできない。それより0.2でサッとフロア時間を短くして一気に冷蔵庫で冷やしたほうが甘くできた時もあったりした。

 

いろいろ難しく書いてしまいましたが、
①酵素
②酵母

が一体何をやっているのかを考えると良いと思います。

 

頑張ってください。

 

でも最近は定説だった18度神話は崩れるというか。酵素はすごく高い温度から低い温度も働くものあるらしい。酵素もバクテリア由来と植物由来とかいろいろあるようです。その研究もどんどん進んでいる。

 

 

 

 

 

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