11月17日㈫ 中編

           車は精神病院 正面玄関前に到着。

               義母を降ろす。

 

        目が悪いなりに、何か違うものを感じている。

        義母は一生懸命入口の字を見ようとしている。

        義母の目にうっすら 病院 と見えた。

 

               ここはどこなの!

               病院って書いてあるけど。

 

                                       真顔   誰も答えられない。

 

                    こっちこっち、と義弟が黙ったまま義母を院内に誘導。

 

        私は車を駐車場に停めてから病院内に入る。

 

  すっかり小さくなった義母が白杖をカッカッとついてブリブリ怒っている。

 

              こわい。 とても怖い。 えーん

 

   

          診察室に入るまでみんなで廊下で待つ。

          義母に座ることをすすめ、座らせる。

          でも3人の誰もその横に座ろうとしない。

          っていうか、隣になんて座れない。

 

                長い。 まだ?

 

              お母さんがそばにいる。 汗

 

                何を話そう、、、 もやもや

 

 

    ここは病院なの?          (うう、こわい、、、

    成田のお墓じゃないの?   (ち、ちがうよね~、病院なんだここは。

    どういうこと?   騙したの?    (いや、まあ、確かに騙したけど、、、

 

 

                                 何を言われても答えがでてこない。

 

     早く呼ばれないかなぁ。

 

               やっと呼ばれた。

             診察室には4人で入った。

 

 

       ムキー 騙して病院に連れてくるなんて私は怒ってます!ピリピリ 

 

    病院  ご家族はお母さんのことをとても心配して連れてきたんですよ。

    病院  じゃあ、病院に行きましょうって言われたとしたら来ましたか?

 

                                   義母は何も答えられないでいた。

 

                  その後も医師から義母にいくつか簡単な質問があった。

 

          病院   どのレベルまで治療しますか?

 

               と聞かれたが、私たちは義母をここまで連れてくることで

               いっぱいいっぱいだったからそんなこと考えてもいなかった。

 

               治療のレベル、か。  

     そういうところなんだ、と驚く。

     グダグダになるところまで潰すこともできる、ってことか。

 

     どの状態が良しとされるレベルなのか わからなかったので

     施設と医師との間で話してもらうことにした。

                         

                                               メモ      メモ     メモ               

 

        そして私達への最後の質問。

 

    病院 入院することはどうお考えですか?

 

      義弟夫婦は黙っている。

      え? え? 入院させるんじゃなかったの? 

      なんで黙っているの?

      どうこたえるべきなのか困った。

      ずーっと黙っているし、先生は答えを待っている。

      もしかしてこの段になってやっぱりお母さん可哀想、とか?

      ねえねえ、そんなのやめてよね。

      ・・・・・・

      ・・・・・・

      アーもう無理!

 

   もう、この二人は限界です

2人の生活を守る為にも入院を希望します

 

 

      私の返事の直後、医師は時計を見て

 

            午前〇時〇分、〇〇~

 

                 と言って書類に記入を始めた。

         まるで逮捕状を取ったかのようであった。

 

      精神病院の入院ってこういうことをするんだ! って

             今さらながら普通の入院との違いに驚く。

 

      それに引き続き、拘束することの許可を求められ、

                   3人で同意し、サインした。

 

      一連の出来事に驚いているのも束の間、

 

             じゃあ、連れて行って、

 

                       と指示。

 

      誰に指示したのかその瞬間はわからなかった。

 

      いつからいたのか、振り返ると私達4人のすぐ後ろには

      ガタイのいい男性ばかり8人ぐらいがずらっと並んでいる。

 

            これが精神病院か、と思った。

 

      あまりにスラスラとコトが進み、不用意だった義母は

      2人の男性に支えられ、立たされ、廊下に出される。

      あっという間の出来事であった。

      そこまで抵抗する時間もなかった。

   

              叫び暴れる義母。

    呆気にとられ、驚いていると、廊下には車椅子が用意されている。

 

          車椅子に座らせようとするが抵抗する。

      やっと座ったものの足を床に押し付けて進ませない。

      どうやってもダメとみた男性看護師らは車椅子を諦め

      抱えるようにして廊下を進んでいった(のだと思う)。

         でも決して乱暴に扱ってはいないのだが。

 

       あまりに可哀想で、車椅子から抱えられてからは

              見ていられなかった。

 

        義母の 助けて~ だけが廊下にずっと響いていた。

 

         義母はそこから外に出て別の病棟に行った。

 

                  診察室を出たことろの廊下から外に出るための

              扉までの距離はそれほど長くはない。

 

        ここでは一切の私物の持ち込みは禁止されている。