現在、ワタリウム美術館で開催中の「パーフェクト・カモフラージュ展」を観てきました。

 本展はワタリウム美術館恒例のI LOVE ARTの第18弾です。今回はカモフラージュというテーマでワタリウム美術館のコレクションの中から約80点の作品が紹介されています。



さわひらき展示風景
 本展の目玉はこのさわひらきさんの作品です。掘っ建て小屋のような構造物のまわりに、さまざまな物が詰め込まれています。一例をあげると、さわさんの作品でよく見るジェット機の模型から始まって、古びたビデオカメラ、ティーポット、顕微鏡、などなどです。本や漫画も多数あります。こちらは、「GTO」「20世紀少年」「火の鳥」「異邦人」「安部公房」などなど。さわさんは浦沢直樹さんファンなんですね。



 実は作品はこれらの物品ではありません。この中の各所に仕込まれた小さなモニターに映るビデオ映像です。つまりこの全体はモニター映像のための額縁みたいなものです。



 物品はさわさんの私物のようなので、この空間はいわばさわさんの制作スタジオを再現したようなものなのでしょう。そう思ってひとつひとつの物品をみると、さわさんの作品に共通する時間や記憶といったことがつながりであるように思えます。

 本展のテーマであるカモフラージュは、何かから身を隠すことを意味します。アーティストは何かから自分をカモフラージュするために作品をつくり、それによって自分がアートになる、そういった主旨のようです。

 私が観たところ、そうやって自分を隠しているようでいて、実は自分の一番芯の部分が逆カモフラージュされているように感じました。隠せば隠すほど、露わになるものもあるのです。

ワタリウム美術館
「パーフェクト・カモフラージュ展は5月6日まで開催中です。
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