昨年末に、開館5周年を迎えた新生スヌーピーミュージアム。
約1年ぶりに訪れたら、路上にトリックアートが誕生していました。
おそらく、スヌーピーの足あとに合わせて、
足を置くと、いい感じの写真が撮れるのだと思います。はい。
カップルたちが楽しそうに記念撮影していました。けっ。
ちなみに。
時期が近いということもあって、館内は全体的にバレンタイン仕様に。
男一人で訪れるには、ベストシーズンではなかったようです。
さてさて、そんなスヌーピーミュージアムで、
現在開催されているのが、“HOLIDAY”という企画展です。
まず紹介されていたのは、ハロウィン。
日本ではすっかり、コスプレする日と化していますが、
『ピーナッツ』の中で描かれているハロウィンにはもちろん、
コスプレの「コ」の字も登場していませんでした。
続いて紹介されていたのは、サンクスギビング(感謝祭)。
アメリカで毎年11月第4木曜日に祝われる、伝統的な国民の祝日です。
日本では馴染みがほとんどないですが、
アメリカではクリスマス同様に大事なイベントとのこと。
家族や親しい友人たちと七面鳥や鶏肉を食べる習慣があるそうです。
『ピーナッツ』ではサンクスギビングを題材にした回が21回あるようです。
そのほとんどに登場しているのが、スヌーピーの親友ウッドストック。
鳥である彼が食べられてしまわないか、
スヌーピーが心配するというのが定番ネタだったようです。
ウッドストックを食材として見ていた人なんて世界中で、
作者のチャールズ・M・シュルツただ一人だったのでは?
展覧会では他にも、ニューイヤーや、
イースターを題材にしたコミックが紹介されていましたが。
数あるホリデーの文化の中でも、
もっとも題材になっていたのは、やはりクリスマス。
クリスマスの日に、クリスマスを題材にするのは当然として。
1982年には12月17日にしてすでに、クリスマスを題材にしていました。
どんだけクリスマスで引っ張ったんだ?!
なお、今回紹介されていたホリデーの文化には、
モテない男としては避けて通りたいバレンタイン・デーも。
展示されていた数々のコミックの中には、
一切、チョコレートは登場していませんでした。
アメリカでは、バレンタインデーとは、
女性が男性にチョコレートを贈るものではなく、もっと広く愛を伝える日なのだそうで。
バレンタイン・カードなどを通じて、
家族や友人へ相手を想う気持ちを伝えあうものなのだとか。
日本もそうなればいいのに。
ちなみに。
本展を通じて、改めて『ピーナッツ』の魅力を実感させられました。
まずは何と言っても、原画の愛らしさ。
シュルツの描く線それ自体が、活き活きしている印象を受けました。
本展では原画だけでなく、ラフスケッチも数点展示されていましたが、
サラサラッと描かれているのに、それさえもちゃんと可愛いから驚きです。
そして、もう一つの魅力が日本語訳。
日本で『ピーナッツ』が初出版されて以来、
2000年の連載終了後も未訳だった作品の翻訳を続け、
2020年に約50年をかけて全ての翻訳を完成させたのが、
昨年惜しまれつつ、92歳でこの世を去った詩人の谷川俊太郎さんでした。
チャールズ・M・シュルツと谷川俊太郎さん。
この2人の偉大な人物がタッグを組んだからこそ、
日本でこれほどまでにスヌーピーが愛されているのでしょう。
そんなことを想った今年のバレンタインデーでした。