重要文化財《聖フランシスコ・ザビエル像》
大正時代に発見されるまで、
300年近く大阪の隠れキリシタンの里で守り伝えられてきた。
和文冒頭の「瑳聞落怒青周呼山別論廖」は『聖フランシスコ・ザビエル』と読むらしい。
教科書でお馴染みの《聖フランシスコ・ザビエル像》。
この絵で何よりも目が向くのは、カトリック教会の修道士独自の髪型「トンスラ」。
なぜ、わざわざ頭頂部を剃りあげるのか?
キリストが磔刑に処せられた際の茨の冠を模した、
という説もあるようですが、実は、その由来は定かでないとか。
案外こんな理由だったりして―
「はぁ・・・」
「どうした?最近、なんか全然元気ないじゃん」
「あ、いや、何でもないよ」
「何でもないわけないだろ。俺に話してみろよ。親友だろ」
「ありがとう。実はさ、頭の上が完全に禿げちゃって。
「どうか生えますように!」って毎日、
主に祈ってるんだけど、全然復活の気配がなくてさぁ。
あー、恥ずかしくて、人前で布教なんてしたくないよ」
「そんな小さなこと気にするなよ」
「気にするよ!気にしないわけねーだろ!
お前はなぁ!ふさふさだから、俺の気持ちなんてわかんないんだよ!
ちくしょう、バカヤロー!」
「おい!どこ行くんだよ!」
数日後。
「この前はお前の気持ちも考えずに、無神経なこと言っちゃってごめんな」
「俺のほうこそ、八つ当たりしてごめん。
ところで、お前、何でフードかぶってるの?」
「実はさ、じゃーん!俺もお前と同じ髪型にしてみたんだ!」
「えー!」
「しかも、俺だけじゃないぜ。他の修道士たちも、ほら!」
「み、みんなー!」
「お前にだけ恥ずかしい想いはさせないぜ」
・・・と、これは良いモーソウ。逆に、悪いモーソウも。
「修道院長、お呼びでしょうか?」
「うむ。全員揃ったか?」
「はい」
「見ての通り、ワシは最近頭頂部がハゲてきた。
そのせいで信者たちから陰でハゲと呼ばれはじめておるらしい。
だから、明日からお前たちも全員、俺と同じ髪型な」
「・・・」