東京ステーションギャラリーで開催中の展覧会、
“テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする”に行ってきました。
こちらは、ザ・コンランショップの創業者で、「サー」の称号を持つ、
テレンス・コンラン(1931~2020)にスポットを当てた日本初の展覧会です。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
ぶっちゃけた話、ザ・コンランショップはもちろん知っていましたが、
「コンラン」が人の名前だったとは、この展覧会を通じて初めて知りました(恥)。
それくらい僕的にはノーマークの人物(?)だったのですが、
ザ・コンランショップやその前身となるショップ「ハビタ」を通じて、
イギリスの人々の生活文化に大きな変化を与えていただけではなく。
レストランやカフェなど、計50店舗以上を手掛け、
マズいと言われ続けてきたイギリスの食文化にも革命をもたらし、
コンランが手がけたレストラン「ブルーバード」(1997年開店)
Photo: Alex Pareas, Courtesy of Conran and Partners / Courtesy of the Conran family
さらには、出版から都市の再開発まで、
実に幅広いジャンルで活躍していたようです。
コンランの著書『The House Book』(ミッチェル・ビーズリー刊)、1974 年 Courtesy of the Conran family
こんなにも多彩な才能を持った人物がいただなんて!
逆に、これまで何でこの人の展覧会が、
日本で開催されてこなかったのかと、不思議でなりません。
なお、会場には、彼が手掛けた初期のプロダクトもあれば、
世界に先駆け実現させたデザイン・ミュージアムの資料といったものも。
とても一人の人間のものとは思えない、
エグい仕事量を目の当たりにして、頭が混乱してしまいました。
(↑これが言いたかっただけ)
3階と2階の展示室で、展示のデザインをガラッと変えたのも良き。
コンランの実の息子や、コンランショップ・ジャパン代表取締役社長など、
随所で紹介される彼の周囲の人物によるインタビュー映像も効果的でした。
企画力に定評のある東京ステーションギャラリーですが、
今回のテレンス・コンラン展も、その例に漏れず神企画です。
ちなみに。
本展で個人的に最も印象に残っているのは、コンランのデスクの再現。
そのデスク上には、『簡素の美』という文字がありました。
コンランのデザインのキーワードは、
「Plain, Simple, Useful(無駄なくシンプルで機能的)」だったそう。
まさに、『簡素の美』というわけですね。
しかも、よく見ると、「簡素」の『簡』の字がちゃんと簡略化されていました。
簡素化が徹底されています。
それからもう一つ印象的だったのが、
過去のハビタやザ・コンランショップのショッパーの数々。
ザ・コンランショップの紙袋、1980年代、デザイン・ミュージアム/テレンス・コンラン・アーカイヴ蔵
Courtesy of the Design Museum / Courtesy of the Conran family
こんな素敵なショッパーが貰えるなら、
そりゃハビタやザ・コンランショップで買い物したくなりますね。
プロダクトはもちろんのこと、
内装からショッパー、パンフレットに至るまで、
トータルデザインのセンスがハンパなかったです。
そのセンスは家族やスタッフにも、確実に影響を与えていたようで。
コンランが75歳になった時、家族とスタッフからはこんなプレゼントが贈られたそうです。
モノポリーならぬ、コノポリー。
コンランの手掛けた仕事がモチーフとなっており、
彼が手掛けた企業やレストランなどが不動産のコマとなっているそうです(笑)。
なお、本展オリジナルグッズもいろいろ作られており、
東京ステーションギャラリーのショップが、いつも以上に、
いや、ザ・コンランショップばりに、充実していましたが。
残念ながら、コノポリーは販売されていませんでした。
グッズ化熱望です。
┃会期:2024年10月12日(土)~2025年1月5日(日)
┃会場:東京ステーションギャラリー
┃https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202410_conran.html