May, 2020, Tokyo / A Drunk Pandemic | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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天王洲のギャラリー、ANOMALYのグランドオープンを飾った “グランドオープン” 展から、約1年半。

再び、ANOMALYで、アーティスト集団・Chim↑Pomの最新個展が開催されているようです。

ということで、自粛要請解除後久しぶりに、

ANOMALYが入居するTERRADA ART COMPLEXへ行ってきました。

すると・・・・・・・

 

 

 

その入り口が、なんと更地に!

「もしや、これもChim↑Pomのしわざ?!」 と思ったら、

ただ普通に、入り口を新たに整備するべく工事しているだけでした。

勘違いして、なんかすいません。

 

 

さてさて。

最新個展のタイトルは、“May, 2020, Tokyo / A Drunk Pandemic”

こちらは、《May, 2020, Tokyo》《A Drunk Pandemic》

2つの最新プロジェクトを紹介する展覧会となっています。

 

大きな展示フロアをまるまる使って紹介されていたのが、最新作の 《May, 2020, Tokyo》 。

 

 

 

会場のあちこちには、デニムのような風合いの看板がいくつも設置されています。

そこに書かれていたのは、『TOKYO2020』 と 『新しい生活様式』 の文字。

 

 

 

実はこれらの看板の表面に塗られているのは、

サイアノタイプ、いわゆる青写真、日光写真の感光液なのだそう。

緊急事態宣言が発令された今年5月、

Chim↑Pomは、これらの看板を街中の様々な場所に設置。

 

 

 

最長2週間ほど放置したのだそうです。

その期間中の雨や日光、影の揺らぎなどが、

これらの看板の表面には焼き付けられています。

Stay Homeしながら制作できるまさに今だからこその作品です。

東日本大震災の直後に制作された作品もそうですが、

行動力、対応力が早いのが、やはりChim↑Pomのスゴさ。

今回の 《May, 2020, Tokyo》 プロジェクトでも、それをまざまざと実感させられました。

 

ただ一つ、個人的に気になったのは、

これらの看板の表面の風合いは、自粛期間中の2週間だからこそのものなのか、ということ。

自粛要請解除後の人通りが戻ったあとの2週間でも、

街中に放置していたら、なんだかんだで同じような風合いになるのではなるような。

できれば、東京アラートだとかなんとか言ってた頃の、《June, 2020, Tokyo》 も見たかったです。

って、彼らのことだから、もうやってるかもしれませんが。

 

 

さてさて、今展でもう一つ紹介されていたのは、

昨年イギリスで制作・発表された 《A Drunk Pandemic》 というプロジェクト。

こちらは、コレラとパンデミックをテーマにしたプロジェクトです。

プロジェクトの舞台となったのは、コレラで亡くなった人々が埋葬されたマンチェスターの地下の廃墟。

彼らはそこにビール工場を設置し、

「A Drop of Pandemic」 と名付けたオリジナルビールを醸造しました。

 

 

 

実は、19世紀にコレラが流行した際、

ビール工場で働いていた人はほとんど感染しなかったのだそう。

というのも、彼らは水の代わりに、一度煮沸してから醸造されるビールを飲んでいたからなのだとか。

 

さて、このプロジェクトは、ただオリジナルビールを造るだけでは終わりません。

「A Drop of Pandemic」の直営店として、

Chim↑Pom自らがバーテンダーを務める公衆便所を改造した 「Pub Pandemic」 を開店。

 

 

 

そのバーを訪れたお客さんが、用を足すと、

それが下水道を通って、セメント・ブリック工場へ。

来場者の尿が混じった汚水 (もちろん消毒したもの) でセメントブリックを量産したのだそうです。

 

 

 

こうして誕生したセメントブリックは、

マンチェスターの街路や家の修復材としても使われたのだとか。

ビールが尿となり、その尿が、マンチェスター中に広がっていく。

まさに、パンデミックです。

まるで今年2020年を、昨年の段階で予測していたかのようなプロジェクト。

正直なところ、もし去年の段階でこの作品を観ていたら、

 

“へぇー、コレラが流行した時って、そんなことがあったんだー”

 

くらいにしか感じなかったでしょうが。

今は時期が時期だけに、かぶりつくように作品を観てしまいました。

 

 

これまで時代を切り取る作品をいくつも発表してきたChim↑Pom。

ついに時代を先取りする作品を制作する域にまで達しているようです。

星

次は一体どんな予言をするのか。

今後の活動からますます目が離せません。

 




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