キスリング展 エコール・ド・パリの夢 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、東京都庭園美術館で開催されているのは、
"キスリング展 エコール・ド・パリの夢" という展覧会。




こちらは、シャガールや藤田嗣治とともに、エコール・ド・パリを代表する画家で、
「モンパルナスのプリンス」「モンパルナスの帝王」 と呼ばれたモイズ・キスリングの個展です。
ちなみに、日本でキスリングの展覧会が開催されるのは、実に12年ぶり。
国内外のキスリング作品にくわえて、
海外のコレクターが所有するキスリング作品も来日しています。
キスリングファン、エコール・ド・パリファン、待望の展覧会と言えるでしょう。


さてさて、キスリングと "アール・デコの館" 東京都庭園美術館。
特に何の接点もないような気がしていましたが。
実は、エコール・ド・パリの画家たちが活動した1920年に、
ヨーロッパやアメリカを中心に大流行していたのが、アール・デコスタイル。
そして、キスリングはその影響を大きく受けた画家の一人だったようです。

これまでアール・デコと結び付けて、
キスリングの作品を鑑賞したことは無かったのですが。
改めて、そういう視点で観てみると、
確かに、そこかしこにアール・デコの影響が見て取れました。
それも、東京都庭園美術館の本館内と同じく、
ちょっとやりすぎ装飾デコデコなアール・デコ。

例えば、《花》 という一枚。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


「そんなに花瓶に入るかい!」 と、
思わずツッコみたくなるくらいに、花が盛り盛りで描かれています。
花を活けているというか、もはや花人形のようでした。


また例えば、《ツーロン》 という1枚。




こちらも、これでもかと言わんばかりに、
小さな画面の中にビッシリと数の船が描かれています。
あまりに船の数が多いため、じっと眺めていたら、軽く酔いました。
観るタイプの船酔いです (←?)。


またまた例えば、《アトリエの画家とモデル》 という一枚。




こちらは、絵そのものではなく、額縁がデコラティブなパータンです。
あまりに額縁がデコデコしているので、肝心の絵の印象が弱まってしまっていました。
ちなみに、絵の中の画家は、キスリング本人。
右手に1本、左手に6本の筆を持っています。
いくらなんでも、筆持ちすぎです。
やはり、やりすぎ。


・・・・・と、そんなキスリングのデコデコな作風と、
東京都庭園美術館のデコデコな雰囲気は、実に相性抜群でした。
"もともとキスリングの作品が飾ってあったっけ?" というほどに、しっくり馴染んでいます。




今年のGWは、クリムトの一人勝ちかと思いきや、伏兵現る!
対抗馬は、間違いなくキスリングで決まりです。
星星


ちなみに。
印象的な作品が多々ありましたので、
その中でも特に強く印象に残っているものを、まとめてご紹介いたします。
まずは、ポスターのメインビジュアルにも使われている 《ベル=ガズー(コレット・ド・ジュヴネル)》




一瞬、ナジャ・グランディーバに見えましたが。
描かれているのは女装家ではなく、女性。
『青い麦』 や 『ジジ』 で知られるフランスの女性小説家コレットの娘だそうです。
何と言っても気になるのは、そのワンピースの柄。
どうしても、あの紙袋を想像してしまいます。
やっぱり 「伊勢丹の紙袋でーす」 が掴みだったのでしょうか。


コレットの娘もベリーショートでしたが、
こちらの 《若い娘》 も、かなりのベリーショート。




蓮舫議員ばりのベリーショートです。
そして、黒目がデカい。
『Y氏の隣人』 の登場人物ばりの黒目のデカさです。


どことなく蓮舫議員を彷彿とさせる肖像画の隣の部屋に飾られていたのは・・・




どことなく小池百合子都知事を彷彿とさせる肖像画 《若きイタリア人》
髪型や顔つきだけでなく、ファッションまでもが小池都知事っぽいです。
あと、少しだけ新山千春も入っている気がします。


最後に紹介したいのは、謎すぎる一枚。
《レオポルド・ズボルフスキーの肖像》 です。




レオポルド・ズボルフスキーは、画商であり、モディリアーニの友人でもあった人物。
明らかに、左半身に板状のものが倒れてきています。
しかし、微動だにしないレオポルド・ズボルフスキー。
ノーリアクション選手権中なのかというくらいに無表情を決め込んでいます。
もうしばらくすると、今度は右半身側から何かのトラップがあるのかもしれません。
頑張れ、レオポルド・ズボルフスキー!




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