銀座・画廊巡り | しもりえにっき

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 「ARTとは何か?」というテーマで進めてまいりました7月のカリキュラム。最終回の第4弾は「銀座・画廊巡り」です。
 画廊とはどんなアーティスト(若手から巨匠まで)でも所属し、まず初めに新作を発表する場であり、そして作品を売買する場でもあります。
 普段、絵画教室に通われる生徒のみなさんは、漠然と
「絵が上手くなりたい」という思いでレッスンを受けていらっしゃいます。しかし、現代社会において
ARTがどのような役割を果たしているのか、またどのような場で発表され、売買されて市場原理に組み込まれているのかを知りません。
 そこで、美術館に飾られている古い絵画や彫刻のイメージしか持っていないみなさんに、実際にそのような現場を目撃して頂くことで、現代の
(なま)の、生きたARTを知って頂こう!というのが今回の企画です。

 今回は新富町から京橋までの八つの画廊を巡りました。

 午後1時に新富町駅の改札に集合し、いよいよ画廊巡りツアーの始まりです!

 まず最初の一軒目は駅からすぐ「
ARATANIURANO」に行きました。

 ご覧の通り、銀座の画廊(特に現代アート系)は雑居ビルの中にあることが多く、一見外からはここに画廊があるとは分かりずらいのが特徴です。
 
 こんな事務所のようなたたずまい・・、扉を開けると本当に画廊があるのでしょうか・・・?

 わぁ!ありました!!急に美術館のような
白い空間(ホワイトキューブ)が出現しました!
 みなさんの「わぁ!!」という歓声が展示空間にこだまします。私も学生時代に初めて画廊巡りをした時に、この宝探しをしていて宝を見つけた瞬間のようなこの感覚を味わい、今でもそれがたまらなく好きです。
加藤泉の展示でした。
 この日は休廊であったにもかかわらず、ご親切に私達のために開けて下さいました。ありがとうございました。

 さて、二軒目は3分程歩いた先にある「
MEGUMI OGITA GALLERY」です。

 やはりこちらも雑居ビルの地下一階にあって、入口はなにやら倉庫のような雰囲気です。しかし・・・・・

ドッーーン!!ここはかなり大きな空間が現れました。

 ローレル・ロスの、現代的なテーマをクリスタルやタペストリーといった技法で表現した作品が展示してありました。


 つづいて三軒目は、「
TKG Editions」です。
ここは、奈良美智や蜷川実花といった人気アーティストをはじめとする、小山登美夫ギャラリー取り扱い作家のエディション作品やグッズなどを販売している直営のショップです。

 通常アート作品は高額なものが多いのですが、ここでは一点物ではない
エディション作品なので、お手ごろな価格で作品を購入することが可能です。

 この日はセラミックの作品が置いてありました。

 そして四軒目は「
GALLERY CELLAR」です。





 緻密にフォトペインティングの技法で描かれた鎌谷徹太郎の作品が、まだ展示前だったのか無造作に床においてありました。そこに大勢でドヤドヤと押し掛けたにもかかわらず、和服を美しく着こなしたギャラリストが丁寧に作品の解説をして下さいました。

 全八軒のうち半分の四軒を見終えたところでハーフタイムの休憩です。下見の時に、休憩場所としてホテルのラウンジやレストランが予約できないかなーと思い
十数軒回りましたが、土曜の昼過ぎは書入れ時のようで、どこも予約が取れず、結局居酒屋の「
庄屋」で一休みすることとなりました。今日は小学生や高校生達にとったらまた違った社会科見学ともなりました・・。(笑)
ちなみにアルコールは一切飲んでませんよ!
ソフトドリンクだけ。ま、当然ですよね・・・。


 さて、後半戦の始まりです。五軒目の画廊は
Gallery Q」です。ここは私が10年ほど前から作品を発表している画廊でもあります。

小松 浩子の写真作品が所狭しと展示してありました。

 ギャラリストの上田雄三さんにもレクチャーをして頂きました。みなさん興味津々の様子で上田さんの話に聞き入っていました。ちなみに上田さんは
多摩美術大学の先生もされているんですよ。


 
銀座中央通りまで歩いて来ました。歩行者天国になっていたのでみんなで道の真ん中で記念写真を撮りました。

 この日はそれほど暑くもなく、画廊巡りをするには快適なお天気でした。

 そして次に向かう画廊は中央通り沿いにある
GALLERY KOYANAGI」です。

 佐藤允の鉛筆で描いた作品が展示してありました。すごい描き込みで、とても圧力のある絵でした。



 ビルの八階にありフロアー全てが画廊になっておりとても広くゆったりとした展示空間です。

 絵が壁にまでにじみ出ています。




 徐々に京橋界隈に近づいてまいりました。7軒目の画廊は「
GALLERY TSUBAKI」です。

 コイズミアヤの建築の模型のような作品と、小川 陽一郎のオブジェとインスタレーションがありました。

 アーティストのコイズミさんがいらっしゃり、折りたためる作品の仕組みを実践して教えてくれました。

こちらは小川さんのオブジェ。




 さあ!そしていよいよ最後の八軒目「
和田画廊」へ向かって歩き出しました。やはり雑居ビルの中にあり外からは画廊があるとは気づきにくいたたずまいです。エレベータが無く狭い階段を三階まで上がっていくと、非常にこじんまりとしたスペースが現れました。
 しかし、そこにいたのは・・・

うわぉ!!金色に輝くオオサンショウウオでした!

 ずっとオオサンショウウオをモチーフとして作品制作を続けているという井上裕起のFRPの彫刻作品です。
 今回の金色の作品は
東日本大震災をテーマにして造ったということです。
 
壁には小品も展示してありました。

 こちらにもアーティストの井上さんがおいでになられたので、作品のコンセプトを語って頂きました。


 これで八軒の画廊を全て巡り終えました。とても気候が良かったので、大した疲れも無く楽しく回れたと思います。

最後にまとめのお話をして解散となりました。
 みなさんは画廊についてどのような印象を持たれたでしょうか? 作品の横にはプライスリストが必ずあり、全ての作品に値段がついています。お金と聞くと、どうしてもあまりいい印象を持つことができず、純粋な表現であるARTと結びつかない方もいらっしゃるかも知れません。しかし、今回巡った画廊でも、実際に作品は売れており、キャプションには赤丸のシールが貼られていました。
 ARTを買うという行為は、スーパーで野菜やお肉を買ったり、電気屋さんで電化製品を買うといった事と本質的に異なります。
 野菜やお肉は食材として調理され、みなさんの食卓の上に並び、そして胃袋に入っていきます。また電化製品はみなさんの日々の生活を潤滑にし、過ごしやすいものとします。つまりこれらの物は我々の生命や生活に直結していて、無くてはならないものたちです。
  しかし、これに対してARTはどうでしょう?別にART作品を所有していなくても命に別状はありませんし、所有したところで、生活がより便利になる訳でもありません。
 では何故、世界にはARTを買う人達がいるのでしょうか? ART作品とは、アーティスト達が世の中の事象や自己といった、つまりは自然に真摯に向き合って制作されたものです。そこにはアーティストの思想というフィルターを通して見た今の世界、または少し先の世界が表現されています。
 そのように造られた作品を観た鑑賞者が、その表現や思想に強く感銘を受けた時、所有したいという欲求が生まれます。つまりアーティストの想いと鑑賞者との想いがピッタリと重なった時、ARTは買われていくのです。
 これはとても崇高な行為であると私は思います。ART作品は役にはたちませんが、自分の部屋にお気に入りのART作品を飾ってみて下さい。そして作品と心の対話を続けてみましょう。きっと豊饒かつ極上のひと時をお過ごしになることができるでしょう。そして普段の日常生活も彩りを増し、更に楽しいものへと変化したのであれば、あながち役に立たないとも言えず、むしろ大いに役に立ってると言えるのかも知れません。
 ARTを買うということは、とても上質で文化的な行為なのです。お金と心に余裕のある方はARTを買ってみてはいかがでしょうか。

 すでにこの画廊巡りの直後、再び画廊を訪ねて絵画を買った生徒がいます。今回の「画廊巡り」をやってつくづく良かったなぁーって思いました。

 
さて来月8月のカリキュラム、基礎コースは「静物着彩」、上級コースは「自由制作」です。暑いですが張り切っていきましょう!

絵画教室 下落合アトリエ www.shimorie.com
講師 村尾 成律
(むらお まさのり)



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