今年、富山県美術館に行き、なかなか感心したことがあります。

1Fロビーのところに、本美術館の設計関連資料が置かれていたこと。

 

建築的に工夫されている点、コンセプトなどがわかり、そうしたバックグラウンドを公開することで、本美術館を鑑賞者に近づける工夫がなされていました。

 

こちらは外観。

設計者は内藤廣さん。

 

 

 

 

内藤廣さん。↓

早稲田出身で、建築家・菊竹清訓氏系列の方です。

こちらは先のシンポジウムの一コマ。

 

 

 

設計関係資料には、ドローイングも多々あり、そばにある環水公園とどう向き合うかを入念に検討したさまがうかがわれます。

 

つまり、そばにある環境とどういう角度で呼応させるか。

 

 

 

アップにすると、立山連峰と平行な軸、などと書かれ、

公園だけでなく、山並みの線までも考慮しているようです。

 

実際、美術館は斜めに置かれたような印象を受けていたのですが、

 

 

 

環水公園から眺めてみると、公園内に渡された橋と平行に建っているように見えました。

 

青山学院の並木道の中心線は、向かいの国連ビルの建物の中心線と一続きになるように

建てられたと聞きましたが、同じ原理ですね。

 

でも言われないとなかなかこういうのって気づきません。

なんとなくすわりがいいな、とか安定感があるなとは思いますが、

それが中心軸の置き方のせいだ、と門外漢が即答できることはまずないのでは?

 

ちなみに右に見える日の丸のようなものは特別展示の巨大ポスターです。

常時掲げられているわけでなありません。

 

 

 

公園から望遠で眺めた屋上。

 

 

 

先日書いたとおり、富山美術館は、屋上もひとつの見所です。

図面には、屋上の玩具も縮尺を定めて、きちんと描かれていました。

 

 

 

ロビーの展示一例。

 

 

 

音楽会にも使用されるホールは座る人間が描きこまれていました。

そのほか、素材なども事細かに書かれています。

専門家の人が来ることも意識した展示なのかなぁ?

・・というのも

ブラインドボックス:St-PL t=1.6 BAE、、、などと書かれています。

わたしにはなんのことやら、

その分、天井にアルミが使われているなど、意外だわ、と思った部分に目が行きます。

 

 

 

隅に書かれていたこれ、しっかりチェックしました。

 

 

 

わたしにとって長い間美術館は美術物を入れる単なる箱でしたが、

様々な工夫が度の美術館にもあることに気づいてからと言うもの、ちょっと目を留めるようにしてきました。

 

ただ、そうしたコンセプトや工夫店が沈黙していることも多々あって、

富山美術館のように声高に美術館全体の工夫どころなどが解説してあると、

その「箱」に込められた思いが実感できます。