◆ 楽園を追放されたアダムとイヴの彫像も
パリのノートルダム寺院の火災後、
仏文化相のツイートや、ニュースサイトの画像などを見てみました。
ああ、あの人たち(?)は無事だった、と安堵したのがファサードを飾る
華やかな彫像たちです。
壮麗な彫刻群のなかでも特に印象に残っているのは、正面頭上にそびえるこちら。
恐らくディオニュシウスの像でしょう。
斬られた自分の頭を手にしていますから。
斬首された小高い丘は、殉教者の丘=モンマルトルと呼ばれるようになりました。
パリ・モンマルトルの地名の由来です。
そして、彼が”モンマルトルのレジェンド”と呼ばれるゆえんです。
ディオニュシウスは、今は一般的に聖(サン)ドニと呼ばれます。
サン・ドニという地名もあちこちにありますね。
いい伝えによると、ディオニュシウスは斬首後、
地に落ちた自分の頭を拾い上げ、祈りを捧げながら6km北に歩いた、のだとか。
途中、汚れた頭を洗うみずから余裕すらあったほど!
彼がついに力尽きて倒れたのは、今サン・ドニ大聖堂が建っている場所でした。
ノートルダムのどこにそんな聖(サン)ドニの彫刻が並んでいるかというと、
正面の比較的低部、入口そば。見つけるのは容易かと思います。
4人並ぶうち、右から2番目です。
そのほか聖人の列には、こんなものもありました。
左のひとりが、なにかを踏んづけているようです。
踏まれているのは王冠をかぶった小人?
四天王に踏まれる邪鬼を思い浮かべる光景です。
そうそう、こちら、窓にはさまれた場所に一人佇む女性は、
もしかしてイヴではないでしょうか?
逆側に目を転じると、やはり葉っぱをまとった裸体の男性像があったので
間違いありません。
アダムとイヴは、禁断の果実を食してから、羞恥心という概念を知ってしまい、
イチジクの葉で急所を隠した、と言われます。
葉で隠している姿は間違いなく楽園追放後のアダム(下の写真左)とイヴでしょう。
とても恥ずかし気な表情が印象的です。
アダムにいたっては頭を抱えています(笑)。
それから、こちらのペディメント(三日月部分)ですが、
上はマリアの戴冠ですね、きっと。
となるとその下は、死せるマリアでしょうか?
聖母マリアにささげられた寺院なので、表象にもマリアが
あちこちに見られますから、そう判断してよさそう。
さらにこのペディメント部分、
周囲の縁取りは装飾用によく使われた植物アカンサスかな、と思いきや
人物でした。
人物が模様のように、彫刻を飾り、縁取っています。
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そう、遠目では、フリルの着いた植物の飾り模様に見えますが、
これら縁取り模様は、天使や聖人なのでした。
例えば右側。
4列になって聖人が縦に連なっています。
模様がなにもなさそうな脇の壁にもきょっこり柱の中にたたずむ人物像が
現れたりします。
以下の沈下後写真↓はフランス文化省のサイトから。
正面は火事があったとは思えませんが、
裏側に甚大な被害が及んでいます。
美の殿堂が力強く再び蘇る日を信じつつ。