最近、社会の窓を一日一回は閉め忘れている富田です
社会の窓って表現、もう古すぎますかね?
近頃はすっかり読書をしない人になってしまいまして、
小説はもちろん漫画ですらワンピースの新刊だけをゆっくり追いかけているような昨今なのですが、
ある日、暇に駆られた衝動でダウンロードした漫画アプリを何気なしに開いてみると、「1冊無料」のページ内になんだか気になる表紙のコミックが目に入り…
↑最上段の右から3冊分
なんと3巻までを一気に無料で読められるとのことで、
その時自宅で暇を持て余していた富田はまんまと出版社の罠にハマり、1巻、2巻、3巻と一気読み…
気が付けば最新刊の14巻までを一気に大人買いしてました笑
そんなわけで、今回は不動産のご紹介ではなく、
富田がナルト以来6年ぶりにどハマりした個人的名作をご紹介
シオリエクスペリエンス - ジミなわたしとヘンなおじさん -
こんなに漫画で「音」を感じられた作品は自分にとってはかつて無く、読みながら本気でドキドキしたりスカッとしたりを久っ々に体感させてくれた作品でした
主人公はとある高校に勤める地味で貧乏な英語教師の本田先生
この高校にはまさに今時ともいえるスクールカーストが蔓延していて、
「地味な先生」として生徒はおろか他の教員からも存在を忘れられたり、馬鹿にされたり笑われたりと文字通り散々な毎日を送る中で、
本田先生は決して腹を立てるでも見返そうすることもなく、常に周りに目立たないようにひたすら自分を押し殺して暮らしていました
そんなとある夜、
ふと主人公が自分の部屋のタンスを開けると、そこにはなぜかアフロな外国人が…
怖さのあまり即座にタンスを閉め、もう一度恐る恐るタンスを開いてみるとその男は姿を消しており、ホッと一息
も束の間、後ろを振り向くと…
そんなオープニングからこのお話は全てが始まっていくのですが、
このアフロでスモーカーでスタイリッシュな男のゴーストは、
なんと昔に実在した伝説のギタリスト「ジミ・ヘンドリクス」その方でした
自分は学生の頃から洋楽にはとんと疎く、その偉大さや有名さを全く知らなかったんですが、
ロックを愛する世のバンドマンやギタリストの間では、27歳という若さでこの世を去ったことからも未だに神的な存在として伝説な方なようで、
作中でも度々その偉大さが語られるシーンが出てきます
そんな「ジミヘン」の愛称を持つロックの神が、どういうわけか突如主人公の部屋のタンスに降臨し、そしてなぜか主人公に憑りついてしまいます
そしてその翌日、
高校が誇る全国コンクール優勝の吹奏楽部が新入生への部活動紹介イベントで演奏を始める中、そのブルースを感じないお利口さんな演奏に痺れを切らしたジミに、本田先生は身体を乗っ取られ、
突如ギターパートをジャックして伝説的ギタリストのスペシャルギタープレイで大暴れします
この憑依体験を通じて、
かつて兄の影響で始めたギター、そして高校生の頃に同級生と一緒に本気でバンドに打ち込んだ頃の生き生きしていた自分自身を思い出し、
ジミが憑りついたせいで“1年以内に世に伝説を残さなければ死ぬ”という何とも理不尽で絶望的な呪いをかけられた地味な主人公と、
変なおじさんことジミ・ヘンドリクスの笑えて泣ける熱いストーリーが猛スピードで走り出していきます
その主人公の劇的な変化はもはや巻頭イラストで見て取れるほどになっており、
これがまだ自分を取り戻せていない弱気な1巻の主人公で、
これが3巻になるとめちゃめちゃ気持ち良くジャンプ弾きを決め、
6巻にまでなるともはや師匠ジミ・ヘンドリクスそのままな神的ギタープレイを見せるまでに…
なんというか、
まず自分がこれまでこういったバンド演奏を表現している漫画に出会ったことがなかったからだとは思うのですが、
これほどまでに絵で「音」を感じられるその表現力や、
本田先生に惹きつけられるかのようにこれまた熱い生徒(バンドメンバー)達が集まってきて、失敗と成長をしっかりと実感できるその丁寧な過程の描き方、
そしてある意味最高にベタで分かりやすく泥臭い、それ故に作品の登場人物たちと一緒にドキドキしながら読み進められる快活なストーリー進行など、
全ての要素が自分にとってまさしくドツボでした
例えば「音」を感じる例として、
主人公が高校時代の同級生(バンド仲間)と一夜の再結成をしたシーンや、
本田先生が血の滲む努力で作曲したデモ音源を、バンドメンバーである学生たちが初めて聞くシーン、
曲の凄さで身体やいろんなものが切れていくほどの衝撃感
そして、
ベテランロックバンドの演奏開始でライブハウスの地面が割れちゃったり
27歳で亡くなった伝説級のロックスターの二人が、ライブハウスから竜巻を巻き起こしたり(笑)
とにかく、いちいちやりすぎなくらいド迫力な表現が気持ち良くて、つい何度もページを戻してしまうくらい病みつきに
これは、本編を読まないとその良さが全く伝わらないかと思いますが、
これまで誰の心にも残ることがなかった主人公たちの楽曲音源が、その進化がすごすぎたせいか実力派な吹奏楽部に衝撃波を走らせるこのシーンなんかは、未だに時折思い出しては胸が熱くなる大好きなシーンです
作者の長田悠幸氏は、今や少年漫画の代表的な名作「僕のヒーローアカデミア」の作者にもかなりの影響を与えた作家さんらしく、
特にこの“登場人物たちの生き生き感”や“必死さ”をここまで上手く丁寧に描ける作家さんが居たことがとても衝撃的でした
校内では邪魔者扱いされ続けるメンバー達、
そして呪いのせいで1年以内に死ぬことが確定された不幸な主人公、
でもそんなことはお構いなしにひたすら自分らしく生きようともがいていく先生と仲間達の、葛藤と苦悩と成長が目まぐるしいスピードで走り抜けるまさに令和のイチオシの作品です
もしちょっとでも読んでみたいと感じたそこのアナタ
今なら富田のiPadで毎日読み放題ですよ!(笑)
ぜひ「シオエク読ませて!」とリクエストをお送りください
最後に、バンドの結束の強さと一体感が感じられる、個人的に作中で最も好きな一枚を
不動産とシオエクのことならぜひアートハウジングまでお気軽に