アサギ『…ちょっと、何?その髪は』
『あ?いいじゃねぇか、そこまで明るくねぇし…』
アサギ『そうじゃなくて、寝癖』
『え?…あ、ホントだ』
アサギ『直せるよね?気を付けて。あと、髪の色は問題ないよ』
文化祭が終わって1ヶ月後。
アサギは変わらず風紀委員の活動を過ごしていたが、前と比べて厳しく無くなった。
『あ、やば。風紀委員だ…!』
『えぇ…!スカート下ろさないと…!』
アサギ『…その長さなら、何も言わないよ』
『え?本当?』
アサギ『それより…ピアス開けたの?先生に見つからないように、髪で誤魔化して?』
『!…あ、ありがとう…っ』
後ろに生活指導の教師がいるため、注意をする。
注意された女子高生達は、アサギにお礼を言って、颯爽と教室へと向かう。
『最近、委員長どうしたんだ?』
『あんまりうるさく言わなくなったよね?』
『罰とかも…無くなったし』
『なんか…今の感じがいいよね』
クラスメイト達も口を揃えて言う。
以前のアサギは厳しくて、頑なに「ルール、ルール」と一方的に言って、クラスメイト達から嫌われていた。
けど前とは違って、アサギは変わった。
そのおかげで、アサギの印象が塗り替えられていく。
鞍馬『…文化祭から1ヶ月…。“前”の未来じゃ、こうにはならなかったな』
放課後、アサギは鞍馬に呼び出された。
アサギが変わるようになったのは、鞍馬のおかげだ。
アサギ『えぇ…“前”の未来だと、この学校に通えていた事が危うかったです』
鞍馬『だろうな』
アサギ『…結局浅野くんは学校を辞めることになったけど、でも皆で見送れて、本当に良かった…』
文化祭後
母親の葬儀の後、浅野は結局学校を辞めた。
生活のために働きに出なければならなかったから。
だが、“前”と違って、浅野は学校のクラスメイト達とちゃんとお別れを伝えることが出来たし、バイト先では、しっかりとした顔つきになっていた。
本当に、過去を変えたことで未来が変わった。
鞍馬『まぁ、過去を変えると言っても、下手すりゃ大きく変わることもあるから気を付けなきゃな。お前ぐらいならOKだ。おかげで浅野の未来も変わった』
アサギ『ありがとう…ございます……。先生に助けられるなんて、思って無かったので…』
鞍馬『何度も言うが、お前はちゃんと間違いに気付いた。だから、変わる事が出来た。俺はただ、時間を戻したいだけ。変われたのは、お前自身だ』
アサギ『!……そう、ですね』
最初はあんなに悪態ついていたのに、今では鞍馬に頭が上がらない
鞍馬の力が無ければ、今頃どうなっていたか…
アサギ『…あの、先生…』
鞍馬『ん?』
アサギ『アゲハ族って…すごいところですね』
鞍馬『いきなりどうした?』
アサギ『こうして、人々の心を救える組織なんて、探しても簡単には見つからないですよ。俺、アゲハ族をすごく気に入りました…!あの、俺…アゲハ族に入りたいです…!』
鞍馬を通して、アゲハ族の凄さを知った。
アゲハ族の様に、人々の心を救える、そんな人に自分もなりたい…
鞍馬『え?却下だ』
アサギ『!?』
その思いは、すぐに砕けた。
アサギ『な、なんでですか!?』
鞍馬『あのな、お前何か勘違いしているが、アゲハ族=優しい連中じゃねぇぞ?すべての人を救うとあるが、限度もある。優しいだけで救えるなら、とっくにこの地球上には権力や差別、戦争だって存在しない。お前はアゲハ族を客観的に見ているに過ぎないんだ』
アサギ『そ、そんな…!俺だって真剣に考えて…』
鞍馬『真剣…ねぇ』
そう言うと鞍馬は、懐からあるものを取り出す。
それは、銃だった。
アサギ『…!?』
鞍馬『…説明したが、アゲハ族はこんな武器も使う。敵組織との戦争だってある。それでもお前は、アゲハ族に入りたいと思うのか?』
アサギ『っ…』
鞍馬『無理なら辞めろ。それに、お前には向いてない』
アサギ『!向いて……ない?なんでですか!?』
アゲハ族に入れない理由が分からない。
アゲハ族が、人々の心を救うために戦争があることを知っているし、戦うことも覚悟の上だ。
鞍馬の様に、人々を救いたいと言う理由があるのに、それもダメだと言う。
アサギはどうして断るのか、鞍馬に聞く。
鞍馬は懐に銃をしまい、口を開く。
鞍馬『なんで?と言われて、簡単に答えてくれると思うか?甘いな』
アサギ『…!』
鞍馬『だがヒントはやる。…前と変われたと思ってるかもしれないが、それは大きな間違いだぞ?』
アサギ『え…?』
鞍馬『それが分からないなら、お前はアゲハ族になれないな』
そう言い、鞍馬はその場を去って行った。