孫の名義預金の遺産分割リスクと生命保険の活用について |      ONE STOP EYE CONSULTING !!      荒木達也税理士事務所 & 株式会社ARK財産承継コンサルタンツ たより  

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非常に長い間、 ブログの掲載を休んでおりました。

 

相続税の申告業務がつまっているなか、書く暇もなかったのが正直なところですが、ここにきて申告書の作成に慣れてきたせいか、先が読めるようになり、多少の気持ちの余裕が出来てきたのかもしれません。

 

これからは、従前のように、定期的にブログを書いていきたいと思っています。

 

今日は、お孫さんの名義預金についてお話させていただきます。

 

名義預金とは、ご周知のことと思いますが、被相続人が生前に子供や孫の名義の預金口座に当人たちに黙って資金を移して遺しておくことです。

 

この預貯金の通帳も印鑑も、名義人には渡さずに、被相続人が保管していたという状況にあったものが対象となるといわれています。

 

この名義預金は、被相続人のものであるとして、名義は子供や孫であったとしても、被相続人の相続財産に算入して、相続税の計算をすることとなります。

 

その根拠は、民法上、贈与はあげる人と貰う人の合意がなければ成立しないことから、上記のようなケースでは、贈与は成立しておらず、その名義預貯金は被相続人の相族財産であるとされています。

 

他には、その預貯金の管理が被相続人がされており、名義人でありながら、自由に取り扱えない事実であることなどがあげられます。

 

相続税の計算上は、名義預貯金を相続財産として相続税を計算する。

 

遺産分割協議書上は、名義預金も分割対象として協議書に記載する。

 

相続税の計算は、ただ、名義預金を算入して計算すればいいだけですから、それは、それで、対応するだけなので、名義預金に該当するか否かの判定をきちんと精査してしまえば、あとは、粛々と作業をすすめればいいだけでしょう。

 

悩ましいのは、遺産分割・・・

 

子供の名義預金の場合は、基本、名義預金の名義人がその名義預金を取得する、そして相続人が子供2人のみの場合で法定相続分で分割しようとの合意であった場合、双方の名義預金に差があった場合は、他の財産で調整すれば協議自体はまとまりやすいと思われます。

 

ここで、名義は自分のものだから名義預金は全て自分、名義預金を除いた他の財産を法定相続分で分割するべきと、名義預金の多い相続人が主張すると、他の相続人から、そもそも名義預金は贈与が成立していない云々と主張され、争いのもととなるやもしれません。

 

名義預金は、誰に帰属しているのか・・・?

 

贈与が成立していないから被相続人のもの、だから相続財産に算入して相続税を計算する。

 

子供の名義預金の場合は、相続人の名義預金であるから、ほぼ、名義人が取得する遺産分割協議書となるであろうと予想されますから、最終的には、名義人に帰属することとなるでしょう。

 

お孫さんの名義預金の場合は、この帰属という観点では、悩ましく思えてしまいます。

 

遺産分割協議書上で、お孫さんはお孫さんの名義預金の取得者とはなりえません。

 

当然です、相続人でないわけですから、相続で財産を取得することはできません。

 

お孫さんの名義預金の場合は、その親御さんである相続人が取得することで遺産分割協議書を纏めることとなるのが一般的なようです。

 

一旦、親が相続して、親から孫に贈与で引き継ぐという方法です。

 

ここで、悩ましいのは、手続き・・・

 

法律上の理屈では、確かにその通り・・・

 

しかし、金融機関はこの分割協議書のみでは、孫の名義預金の解約や名義変更は認めないでしょう。

 

孫の同意が必要、そして孫が未成年の時は特別代理人の同意が必要となるでしょう。

 

この同意のもと、孫から相続人に名義を変えた場合、孫から相続人への贈与の認定の心配も考えられます。

 

名義人の同意がなければ、何もできない名義預金は、誰に帰属しているのか

 

金融機関の手続を考えると名義人?孫が名義人であれば孫?孫でなければ孫の名義預金は何もできないという事実と法律上がかみ合わないという現実

 

このように考えると、社会通念上の名義預金は名義人のものであると思われます。

 

そもそも、名義を移した時点で贈与の契約の成立云々でなく、その名義預金は名義人のものであろうと、これは、私の個人的な考えです。

 

税務上は、相続財産に算入して適正な相続税を納付すればいいのかなと、あえて、遺産分割のテーブルに乗せなくてもいいのかとも思えてきます。

 

それでも、相続人の名義預金は遺産分割協議書の対象としても、問題は無さそうです。

 

悩ましいのは、孫の名義預金・・・

 

遺産分割協議書のテーブルに乗せると、相続人が孫の親のみならまだしも、叔父や叔母がいた場合、その孫の名義預金について、叔父や叔母も自分たちの権利を主張してくることは、充分に予想されます。

 

たとえ、被相続人が体の不自由な孫を気遣って密かに遺してくれていた孫の名義預金であったとしても、法律上は、相続人全員にその名義預金の一部をもらう主張はできることとなってきます。

 

個人的には、贈与の成立云々でなく、基本的には、名義預金は名義人に帰属するものであると解釈しています。

 

例外としては、被相続人が軽い認知で、それをいいことに預金を作らせた愛人とかのケースでは、別の意味で、否定すべきかとは思います。

 

一番大事なことは、被相続人の体の不自由な孫に財産を遺してておいてあげたいという思いを、いかに、円滑に実現しうるかと考えることでしょう。

 

円滑に、財産をお孫さんに届くように遺してあげられるのは、生命保険でしょう。

 

お孫さんですから、非課税の恩恵は受けられないので、税額は名義預金と変わらず節税の効果はありませんが、スムーズに財産を受け取ることはできます。

 

いかにして、被相続人の思いをかなえさせてあげられるのか・・・

 

体の不自由なお孫さんへの最後のプレゼント

 

その思いは大切に実現させていただきたいと思います。

 

名義性の預貯金で、ご質問や、ご相談がありましたら、どうぞ、お気軽にご連絡ください。

 

荒木達也税理士事務所  税理士 荒木達也

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