【タンポポのお酒】

庭のタンポポが満開になると、いつもはタンポポの花のジュレを作っていたんだけど、今年はジュレではなくて、「タンポポのお酒」を作ってみることにした。

レイ・ブラッドベリの小説で有名になったタンポポのお酒だけれど、私は小説は読んだことがない。だけど、タンポポのお酒って何なのかと、高校の頃からずっと気になっていた。

原題はDandelion Wineで、調べてみたら、ちゃんとレシピが載っていた。タンポポの花を水と砂糖とワイン酵母に漬けて発酵させたもので、だからまあ発酵サイダーと同じようなものだ。数カ月くらいでは、それほどアルコール度も高くならないので、ワインというほどのものでもない。

それで、エルダーフラワーの発酵サイダーと同じように作ってみることにした。水3リットルに対して、タンポポの花が70個くらい、ハチミツ100グラムくらいとリンゴ酢を30ml、大きな鍋に入れて、涼しいところに置き、3日くらい毎日かき混ぜた。

それを昨日、フキンで濾して、瓶に詰めたところだ。6週間から8週間くらいすると、発酵して適度に酸味がついたサイダーになっているはずだ。

タンポポの花は、エルダーフラワーと違ってそれほど香りがあるわけでもないんだけど、うっすら黄色がついて、タンポポのあの「太陽の味」としか言えないような独特の味がある。味というより、タンポポの花が持つエネルギーなのかもしれない。春の陽光のように暖かくて陽気な陽のエネルギーだ。6週間後、いったいどんな味になっているのか、楽しみだ。

エルダーフラワーの発酵サイダーを漬けるようになってから、サイダーみたいな飲み物もすべて自作できるのがわかった。エルダーフラワーが咲くと、毎年10リットルくらい発酵サイダーを作っているんだけど、その他にも、庭に生えてくる松の葉っぱで松葉サイダーを漬けたり、ミントや野生のタイム、レモンバームなんかで作ったりしている。

私も街に住んでいたときは、ペットボトルの飲み物とか買っていたけれど、こうやって自作した発酵サイダーとか漬けていると、ああいう工場で作ったようなものしか飲み物がないみたいに思い込んでいたのは、何だったのだろうと思う。炭酸も味も香りも、人工的につけたようなやつで、発酵サイダーのような、全体として熟成した調和のようなものがない。

お金でものを買う生活だと、結局、人工的なものを消費させられることになる。だから、自然のもの、ちゃんとした味のするものを求めていくと、しまいにはお金がかからずにできてしまうものに行き着いてしまうのだ。


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