ケルン放送交響楽団、ギュンター・ヴァント指揮で、ブルックナー全集を聴く。
9番を聴きました。

ブルックナーの交響曲第9番ニ短調は最後の交響曲である。
第3楽章まで完成し、未完に終わっている。
この作品の献辞として、譜面にドイツ語で「愛する神に」(Dem lieben Gott)と書いている。
初演は1903年、2月11日にフェルディナント・レーヴェの指揮によりウィーンで行われた。
初演で用いられたのは、レーヴェによる改訂版である。

本演奏は、原典版による。
なお、ヴァントは、ブルックナーは終楽章を完成できる自信がなく、その逃避のために第1交響曲の改訂に長時間を費やしてしまった。
と語ったらしい。

随所に新たな和声の試みがされているという。
ヴァントは、後の、ベルリンフィルとの演奏録音のあるが、和声の処理(演奏)の巧みで、
美しいベルリンフィルとの演奏より、本演奏のほうが、ヴァント色が濃く出ているように感じる。

味のあるヴァントの演奏が素晴らしい。
また、対位法的な構造美が素晴らしい。

第1楽章第1主題部をブルックナーは「生との訣別」と呼んだ。そうだ。
最後の審判に向かうのだろうか。

 



【収録情報】
アントン・ブルックナー:
・交響曲第1番ハ短調(1891年稿/ウィーン稿)[ブロシェ版]
録音:1981年12月

・交響曲第2番ハ短調(1877年稿)[ハース版]
録音:1981年12月

・交響曲第3番ニ短調(1889年稿/第3稿)[原典版]
録音:1981年1月

・交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』[ハース版]
録音:1976年12月

・交響曲第5番変ロ長調 [原典版]
録音:1974年7月

・交響曲第6番イ長調 [原典版]]
録音:1976年8月

・交響曲第7番ホ長調 [ハース版]
録音:1980年1月

・交響曲第8番ハ短調 [ハース版]
録音:1979年5、6月

・交響曲第9番ニ短調 [原典版]
録音:1979年6月

ケルン放送交響楽団
ギュンター・ヴァント(指揮)

録音時期:1974年7月~1981年12月
録音場所:シュトルベルガー・シュトラーセ・シュトゥディオ、ケルン
録音方式:ステレオ(セッション)