ふつーの会社員である夫は、新婚時代から、「今日は、帰りが遅くなるよ。飯は、食べてくる。」


たったこれだけの電話をかけてこなかった。


かけてくるとしたら、午前1時か2時頃・・・へべれけのうわずった声で、


「今から帰る。メシ、食うから!」と、ろれつもまわらない。


赤ん坊が生まれて大変な時も、いくら「夕方、飲む前にかけてきて。」


と言い続けても、変わらない。


心をこめ、手をかけて(いつもとは、言いません)、作った夕飯にラップをかけて


「なにやってんだか?どうしちゃったんだろ?」


と頬ずえつく時、料理が冷めるとともに、私の心も冷めてくる。


数年間、このことが喧嘩の種になっていたのだが、


ある日、突然、私は目覚めた。


生真面目な私は、毎日きちんと料理を作らなくちゃあ。


それが妻の務めだとばかり思い込んでいただけなのだ。  つづく