短編小説【さいこうの寄り道】① | ありあけDREAMERS(3rd season~成長~)

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元「うみねこのなく頃に」考察サイト。現在「成長」したい25歳の毎日更新ブログ。夢はでっかく「日本を背負う逸材」になる。

さいこうの寄り道
コードアリアケ









 「今日も寄り道をしよう」

 ”ぼく”は”いつも”のように家に帰る。そう、”いつも”のように。”いつも”って何だっけ?そんな疑問さえ抱かず家に帰る。
 だが、”いつも”と違う事をしたい。そんな衝動に駆られるのも確かだ。家に帰る”いつも”は内包しつつ”いつも”と違う世界を夢見る。そんな”ぼく”だ。

 ここは21世紀初頭の極東日本。そんな日本のさらに田舎のとある地方都市。そこが”ぼく”の”いつも”の所在場所。”ぼく”の歳は?性別は?それは些細な事柄だ。僕は”いつも”を愛している。しかし”いつも”と違う事もしたい。そう浮気者だ。
 そんな”ぼく”が実践してる浮気が”寄り道”である。寄り道は”いつも”を内包しつつも”いつも”から”ぼく”を解放してくれる、そんな最高な浮気相手だ。

 「今日はどこに寄ろうか」

 ”ぼく”は迷っている。家路の途中、”いつも”の分かれ道。違う世界を夢見ているはずの”ぼく”が迷う。なぜ迷う?それは嬉しい誤算か?はたまた予想外な現象か?よくわからず迷う”ぼく”。実は、迷うのはいつもの事。言うまでもないが、なぜ迷っているかは分からない”ぼく”である。そんな”ぼく”に近寄る人影が一つ・・・

 「お困りですか?」

 見ず知らずの”他人”が”ぼく”に話しかける。その”他人”を”ぼく”は知らない。いや、正確には恐らく知らない。

 「(別に困ってはないんだけど)」

 ”ぼく”は嫌悪感を抱きつつも返答を考える。考えるといっても刹那の事。いや、考えるまでもないか、”ぼく”という存在から導きだされる返答は決まっているのだから。

 「いえ、別に困ってはいないのでお構いなく」
 
 ”ぼく”はそう”他人”に答える。”ぼく”という存在はそういう返答を事前に用意している。そう、そういう存在なのだ。

 「そうですか。では」

 ”他人”はそう告げると”ぼく”に会釈し道を進む。そう、ただの通過儀礼のように歩を進める。”他人”は進んで行く、”いつも”と違う帰り道を。”ぼく”の”いつも”じゃない方へ。

 「・・・」

 ”ぼく”はいつものように後を付ける。そう、今日の”寄り道”が決まったのだ。決まったら善は急げと足は軽い、それが”ぼく”だ。今日の寄り道はどんな寄り道に成るのか?期待に胸を膨らませ、”ぼく”は”いつも”から解放される喜びを抱き、道を進む。



続く





⇒②(少々お待ちを)