歌の力 | 絶対音感女性社長 堀口直子の音楽ブログ

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アリア ミュージックオフィス社長のブログです。

われわれは、その始まりから歌とともにある。赤ちゃんは胎内で、まず一つの音楽として、母や父の声を聴くらしい。後のさまざまな体験が内なるメロディーを豊かにし、心の座標軸となっていく▼その軸に深い傷を負った被災地のつっかい棒に、歌がなっている。人気アニメ「それいけ!アンパンマン」の主題歌もそう。<そうだうれしいんだ生きるよろこび/たとえ胸の傷がいたんでも>▼<なんのために生まれてなにをして生きるのか/こたえられないなんてそんなのはいやだ!>。あるラジオ局が震災後に実施したアンケートで水、情報に次いで「必要なもの」が歌だった、と聞いた。歌の力を思い知る▼敗戦後の荒廃を「リンゴの唄」が潤し、坂本九さんの「上を向いて歩こう」は世界の人のハートにもしみた。2004年、台風23号に見舞われた舞鶴市でバスが水没、屋根で37人が一夜を耐えられたのも「上を-」で声を合わせたからだ。同じ歌が避難所の心をつなぐ▼<上を向いて歩こう/涙がこぼれないように>。耳になじんだ歌は「あの日」以前の日常も呼び起こす。どんなに上を向いてもいくらこぼれないようにと言われても、あふれてしまうに違いない▼それでも歌詞は<泣きながら歩く>と続く。<だから君はいくんだ/ほほえんで>とアンパンマンも力強い。そんな歌に勇気をもらい厳しい現実に立ち向かっている人々の姿に毎日、励まされてばかりいる。