バグの気持ち | 悪態のプログラマ

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とある職業プログラマの悪態を綴る。
入門書が書かないプログラミングのための知識、会社の研修が教えないシステム開発業界の裏話は、新人プログラマや、これからプログラマを目指す人たちへのメッセージでもある。

バグはプログラマの盲点を突いてくる。自分の作ったプログラムがそんな動きをするなんて! と、バグが出て初めて気がつくのだ。あまりの巧妙な手口に、「バグには意思があるに違いない」などと思ったプログラマもいるのではないだろうか。

ところで、グレムリンというモンスターをご存知だろうか? 同名の映画で知っているという人も多いと思うが、元々は、飛行機などの機械の周りに出没して、それらを故障させる妖精である(イギリス空軍で見つかったらしい)。また、そこから原因不明の機械の異常を GE(Gremlin's Effect)と呼ぶようになったとか。

これはソフトウェアのバグに似ている。バグ(虫)の元祖は、コンピュータの中に入り込んで回路を遮断してしまった蛾である(アメリカ海軍で見つかったらしい)。蛾は妖精の化身だとか、人の魂だとかいわれることもある。だとすれば、意思があってもおかしくはない。プログラマのミスを自分のせいにされて怒っているのだろう。


などと言ってはみたものの、バグが人間の盲点を突いてくるのは、当然である。システムの開発中に、考えうる全てのケースをテストしたのであれば、残ったバグは必然的に盲点を突いたものになるからだ。

ソフトウェアの品質が上がれば上がるほど、バグは突然に予想外の形で現れる。だからこそ、人々は、驚き、感心し、怖れ、そこに意思の力すら感じるのだろう。

逆に、品質管理が杜撰であれば、「なさけないバグ」ばかりが頻発する。とてもではないが、バグに意思の力を感じるようなことはないだろう。


グレムリンは、実はとても機械が好きで、人間の発明を手伝って技術の発展に貢献してきたそうだ。しかし、人間は自分達だけの力でやったと思っていて、彼らに感謝しなかった。だから、怒って機械を壊すのだそうだ。

我々も、バグの重要さを忘れてはいないだろうか。「バグが出ました」→「直しました」で終わってはだめだ。バグをよく分析し、開発方法の改善に努めなければ、次も同じバグを出すことになる。

バグをありがたく受け止め、感謝することがなければ、ますますバグの怒りを買うことになる、というわけである。


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