「サスペリア」のダリオ・アルジェントが製作に当り、閉鎖された映画館で、悪魔と

謎の仮面男に招かれた人々が戦うホラー映画である。

　　- DEMONI -　監督　ランベルト・ハーヴァ　製作　ダリオ・アルジェント

　出演　ナターシャ・ホーヴェイ、ウルバノ・バルベリーニ、パオロ・コッツォ　他

こちらは１９８５年制作のイタリア映画　　です。（８８分）

　　大学生のシェリルは地下鉄で謎の仮面男に試写状を貰う。メトロポールと言う聞いたこともない映画館だったが彼女は友人キャシーの分も貰い二人で映画館に足を運ぶロビーにはたくさんの人であふれかえり、その中で黒人女性ローズマリーがロビーに飾ってある仮面を付けて遊び頬に傷を付けた。シェリルとキャシーにジョージとケンという男が声をかけてきた。二人は困惑しながらも四人で映画を見ることにした。

映画の内容はノストラダムスの墓を暴いた4人組が、その呪いで次々と殺されるというホラー映画だった。そんな中、先ほど仮面を付けて頬に傷を付けたローズマリーが血が止まらなくなりトイレに駆け込む。止血しようと試みるが血はとまらず、傷はどんどん膨らんでいき破裂と同時に膿のような液体を大量に出した。

映画の中ではロビーに飾ってあった仮面と同じ仮面を付けた男がデモンズに変身し、次々と仲間達をナイフで刺し殺していった。そんな中ローズマリーの友人がトイレに様子を見に行くとローズマリーは既にデモンズに変身していて鋭い牙と爪をむき出しにして襲い掛かってきた。　なんとかスクリーンの裏に逃げ込んだがローズマリーに傷つけられた傷がどんどん膨らみ破裂した。　

映画の中でデモンズの男がナイフを振りかざすと同時にカルメンがスクリーンを突き破り舞台に倒れこんだ。慌てて黒人男の連れ、トニーが駆け寄るが、カルメンの爪は悪魔のように伸び、ヤニで汚れた歯が抜け落ち牙が生えてきた。観客達は慌てて逃げようとするが、既に入り口は何者かによってコンクリートでふさがれていた。逃げ場がなくなり一人また一人とデモンズに襲われデモンズは見る見るうちに増殖していく。生き残った人間は2階に篭城し救援を待つことにするのだったが、、。

「サスペリア」のダリオ・アルジェントがプロデュースしたホラー映画という興味本位でレンタルしてみました。この映画を一言で例えるなら、「ロッケンロールゾンビ映画」といった感じでしょうか？映画として様々なツッコミ所が満載で、終始オイオイ、うそ～ん！となりますが、そのハチャメチャな８０年代感満載のノリを楽しめる方ならかなり面白いホラー映画なのは間違いありません。

前半主人公のシェリルが不気味な男に謎のチケットを渡される地下鉄の場面あたりまではアルジェント感が漂う映像が見え隠れしますが、劇場へ一歩足を踏み込んでからは監督の独壇場となります。無料チケットで入場した沢山の人々、チケットを受け取る入口の女性は何やら意味深な表情を浮かべています。ロビーには何故か唐突にディスプレイされたバイクと日本刀を持った謎の人形の姿が、、。

それぞれが席に着き上映が始まると劇中劇がスタートします。男女４人が不気味なお墓を発見して蓋を開けるとそこには謎の仮面があり、ふざけて被ると顔に傷が出来て出血、その傷からデモンズ化して仲間を殺し始めるという映画。これと同じ事が劇場の中でも起こり始めて場内はパニック状態でデモンズから逃げ惑うというもの。

当時これを劇場で観ていた人達はこの映画と同じような状況を同時体験して複雑だったんじゃないでしょうか。ある意味究極のシチュエーションホラーでもある本作。劇場の扉は外から閉じられ逃げ場のない状態の中でゾンビならぬデモンズに襲われていきます。

ゾンビは噛まれたら、という世界共通の暗黙のルールがありますが、こちらのデモンズはそれに傷つけられたらという、より過酷なルール設定になっている為、ゾンビ以上に厄介な存在で次々と犠牲者を増やしデモンズが増えていきます。ただこのデモンズは人を襲ってデモンズ化させるのですが、人を食べたりしないんですよね。ただただ仲間を増やす勧誘活動に徹した存在なのであります。

狭い劇場の空間を逃げ惑い襲われデモンズになるという大人の鬼ごっこが繰り広げられる訳ですが、その中に挟み込まれる人間がデモンズ化していく特殊メイクがこの映画の最大の見所です。８０年代前半に全盛期を迎えた変身や傷といったアナログの特殊効果メイクの様々なバリエーションが本作では一気に観る事ができます。

人からデモンズへと変容していく過程、歯が抜け落ちその下から犬歯が生えてくる口のアップや、舌が伸び手が裂けてデモンズの手に変化していく様、目に指を突っ込んで顔ごと引っ張られて皮膚が伸びる映像、しまいにはデモンズ化した人間の背中から完全体になったデモンズが飛び出してくるという映画「マニトウ」さながらのシーンまで登場して、しっかりディテールを見せてくれるスプラッター映画好きにはたまらないアナログ映像のオンパレード映画です。

多分監督は至って真面目？にホラー映画を撮っているつもりなのでしょうが、それ故に笑ってしまう所が多いのも特徴で、そもそもこのメトロポールという劇場自体が謎、いつの間にかドアはコンクリートで塞がれているし、上映していたフィルムを切っても変化なし、壁を壊したものの隣には謎の空間があっただけという無駄なイべント、謎を知ってそうな劇場側の女性もデモンズに襲われて叫び声を上げるし、劇場外の不良が警察に追われて劇場に入るもののスポット当たらずただただ無駄死にする始末。

一番凄いのがシェリルをナンパしたモブキャラジョージが後半でいきなり覚醒して、まるでランボーが憑依したように活躍する場面。この為に用意してたのねとばかりロビーに展示されていたバイクにシェリルとまたがって日本刀を振りかざしながら劇場の座席の上を走り回るという姿に笑いをこらえられない派手なアクションシーン。

からの天井から唐突にヘリコプターが落下してきての、プロペラ利用してデモンズを斬殺！ヘリの動かし方知ってたの？と思わせる間もなく、その動力を使ってワイヤーで屋上へと昇っていく二人。が、ラスボスかと思われた謎の仮面男が現れるもあっけなくシェリルに撃沈され、謎が増幅したまま劇場外までもデモンズに征服されているなんて。

ヒロインシェリルと劇場を後にしますが、外の世界もデモンズが氾濫して絶体絶命になった二人の前に颯爽と登場するのが武装した親子が乗ったジープ。「乗れ！」と言われるまま乗り込む二人とは対照的に冷静にデモンズを銃撃する幼い子供。

人の居ない田舎を目指すという父親の言葉でゆるいエンドロール、、と思ったらそこに衝撃の銃声が鳴り響いてのエンディング！この場面での躊躇なく銃撃する子供の姿と間がメチャメチャ面白くて、多くの謎を劇場に残したままではありますが、この定説を裏切ってくるエンディングに全て吹っ飛ばされる位のパンチのあるエンディングになっています。

画に負けないくらいロックなBGMもこの映画の特徴で、ハードロックが流れる中デモンズが襲ってくるシーンはかなり斬新で、恐怖を通り越してテンションが上がってくるという映画の内容同様に不思議な体験を味わえる８０ｓミュージックビデオ臭も感じられる楽曲も素敵な映画です。

８０年代ホラーとしても見所が沢山ありますが、コメディ映画としても楽しめる作品です。怖がりつつも笑ってしまうという、時代が生んだ貴重な最高のシチュエーションホラーのエンタメ作品だと思いますので、機会がありましたら一度ご覧になってみてくださいませです。

では、また次回ですよ～！　

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サスペリアでも音楽を担当したゴブリンのキーボードによるテーマ曲も良い感じです

デモンズ 映画 (1985年)

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