ニューヨークはアッパー・イーストサイドに住むコンピューター・プログラマーのポールは退社後、コーヒーショップでヘンリー・ミラー著「南回帰線」を読んでいると、若い女マーシーに声をかけられ、電話番号を教えられる。1度帰宅したポールはマーシーに電話し、マンハッタンのソーホー地区へ向かうのだったが、、。
こちらは1985年制作の アメリカ映画 です。(97分)
御大 マーティン・スコセッシ監督の作品で、本作は未見だったのでレンタルしてみま
した。 当時のスコセッシは 「レイジング・ブル」 「キング・オブ・コメディ」 を
撮り、念願の企画である 「最後の誘惑」 の製作に入っていました。 しかし、もろも
ろの事情で製作が中止になってしまい、傷心の中。 初心に戻り、低予算で小規模な製
作体制で挑んだものが本作になります。 意外や意外、本作でスコセッシがカンヌ国
際映画祭で、監督賞を受賞しております。
ちょっとした好奇心から、不条理で悪夢のような一夜を体験する男のお話です
舞台は地元ニューヨーク。 ただなんとなくの仕事をこなす ワープロ技師のポール。
退社後、コーヒーショップで読書している所に マーシーという女性に声をかけられ
ます。 話ははずみますが、彼女はこれからソーホーの友達に会いに行くと言います
その友達はキキといい、石膏細工の芸術家。マーシーは 「興味があったら電話して」
と、キキの電話番号を教えて立ち去ります。 一旦は部屋に帰ったポールでしたが、マ
ーシーが気になった彼は、電話を掛けて部屋へと向かう事へ。 $20 一枚を持ちタク
シーに乗りますが、なんとも荒い運転。 持っていたお金は窓から飛んでいってしま
いました。 無一文状態で降ろされたポールは、なんとかキキのアパートへたど
り着くのですが、、。 というお話です。
ポールの目の前に現れる人々はちょっとクセが強い方達ばかり、アーティストのキキ
マーシーは何処か闇を感じるメンへラ系、 ヤバそう とそこを逃げ出して雨の中、
地下鉄で帰ろうとしますが深夜増しの料金で帰れない、、。バーに入れば ウェイトレ
スに言い寄られ、バーの主人にお金を借りようとすると、交換条件で彼の部屋に鍵を
取りに行かされる始末。
戻ると店はクローズ状態、さっきのウェイトレスの所へお邪魔しますが、これまたく
せ者、雨の中彷徨うポール。キキのアパートに戻るとマーシーは睡眠薬で自殺 してる
再び飛び出し、また別の女性に出会いますがここでも波乱が待ち受け、最後には泥棒
と間違われ、自警団に追われる事に。 ただ帰って寝たいだけなのに~! と叫ぶ
ポールの姿に笑ってしまうのだりました。 さて、ポールは無事に家に帰れるのであ
りましょうか、、
劇中のセリフにも登場する 「オズの魔法使い」 や 「不思議の国のアリス」 のオジサ
ン版にも見れますし、「アイズ・ワイド・シャット」 「眠れぬ夜のために」 も彷彿と
させられます。 何気に、スコセッシ自身もカメオ出演してたりしておりました。
ちょっとした下心から始まるポールの悪夢と、女性に翻弄される姿は男性という生き
物の産まれ持っての習性を笑われているようで、情けなさと哀愁を感じる私でありま
した
主演の グリフィン・ダン以外にも、絶妙な助演陣が楽しく ロザンナ・アークエット、
テリー・ガー、ジョン・ハード、キャサリン・オハラ、ディック・ミラー といった複
数の作品のどっかで観た事あるぞ 俳優さんが多数出演されていて、それを見つ
けるのも楽しいですよ。
ただ、コメディというまで馬鹿らしく笑えるものでもなく、サスペンスという程でも
といった微妙な作品になっており、スコセッシとコメディって、ちょっと不似合か
も?と感じました。
ちょい カフカ的な雰囲気の漂う一夜の災難。 ラストにちゃんと落としてくれている
映画ですので、ちょっと気になった方は一度ご覧になってみて下さいませ、です。
では、また次回ですよ~!