極め設計職人のスタンス-08 | 元・極め設計職人のJAZZな家造り

元・極め設計職人のJAZZな家造り

ヤフブロから引っ越してまいりましたが、その後脳梗塞になり、家造りの仕事から引退することになりました。会社も解散・廃業しましたが、興味あることなどよもやま話などを今後ともブログ投稿を継続するつもりです。

★ 工事契約・約款にも専門家として関与し、お客様の  
  不利益とならないよう対処いたします。       

2009年10月2日より住宅瑕疵担保履行法がスタ-トしました。

これで引渡し後10年間の瑕疵保証は、たとえ請負工事者が倒産しても保証されることになりました。10年以降の保証はされませんので、期限の終了前には入念なチェックが必要です。

瑕疵担保保険とは、瑕疵が発生した時の修繕費の保険です。
保険料は工事会社の負担で支払うのですが、元はお客様の
支払う工事費から支払われます。
瑕疵が発生すれば修繕費は保険で賄われるため、保険会社は
手抜きや問題のある工事が行われていないか入念にチェックし、
設計基準を設けています。

瑕疵保険は家の医療保険と考えると解りやすいです。
病気になった時に保険に入っていると安心ですが、お金を貰えるからと
病気になりたいと思う人はいませんよね。立派な特別病室に入院し
高度な医療を受けるより、健康でいるほうが良いですよね。

設計事務所は、まず『病気にならない(瑕疵を起こさない)』ことを
主眼に置きます。

程度にもよりますが、欠陥住宅になれば地獄です。
マイホ-ムの夢は儚く消え、補修を求めてもしてくれなかったり、
何年も裁判をしたり、たとえ勝訴しても大規模な補修の場合、
仮住居に移転する必要もあったり、そうでなくとも、
家具の移動やなんやで、日常生活はメチャクチャなります。

瑕疵は絶対に起こさない、起こさせない覚悟を持って望みます。

工事契約は、民間建設工事請負約款(乙)という
民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款委員会によって策定
されたものをベ-スにして使用します。

ベ-スとしたのは、そのまま使わないということです。

契約書というのは当事者の合意によって成立するものですので、
たとえば、HMや工事会社にもその会社用のものがあるのですが、
お客様に不利な内容なら変えることができます。

これって案外知らない方が多いです。
ハンコを押したが最後、引くも地獄、進むも地獄の状態に陥れられる
ことがたまに?あります。

当社は施主側の専門家であることを標榜していますので、
そのような施主の権利や利益を損う契約書・約款にハンコを押させる
ことは絶対にさせません。

でっ、前述の民間建設工事請負約款(乙)ということです。
プロジェクトの状況に応じ、その約款にも修正を加えることがあります。

修正条項については、請負者・施主双方の事前合意を取り付けます。

また、諸般の事情も加味し、たとえば、契約図書がVEで最終工事契約金額
を十分反映できていない状況である場合、後日、請負者の確認の上で追加する
ことを明記の上、未修正全項目をリスト化し、覚書を契約に添付するなど
徹底して工事金額にファジ-な部分を排除していきます。

契約工事金額には、その背景となる見積が存在しますが、
見積り書によっては曖昧な表記が多く、それが顕著な場合は、
工事者による契約図書精査の上、合意を得た後…

請負金額は、契約図書にもとづく工事一式請負金額であり、
添付見積書に見積り落ち等がある場合、未記載省略項目とみなし請負金額は、
増減しないものとする。

という1文を契約書のその他欄に書き加えることにしています。
工事監理は、契約図書に基づく工事が行われているかどうかを
チェックしていくのですから、工事の指標となる信頼のおける
図面とする必要があるのです。
原則としてファジ-な部分は残しません。

特記仕様書もプロジェクトの状況に合わせ、コスト決定でファジ-さを取り除き
さらにVEを通じ、コンセンサスを得、また相手側の施工情報も加えていきます。

要するに、瑕疵担保保険が治療費の期間限定の無料化であるとするなら
私たちは病気(瑕疵)にならないよう、
ワクチンを投与し予防医療を施しているのです。

私どもの極め設計職人の設計事務所では・・・
工事契約・約款にも専門家として、常にお客様の不利益とならないよう
対処しています。