2.破産後の設立開業の注意点
新会社設立との関係で自己破産(債務整理)のデメリット。
・新会社設立のための融資を受けることができない
・旧会社取引先が取引を継続してくれるとは限らない
・従業員の確保が難しい
(1) 新会社の融資方法
新会社設立には、当然ながら資金が必要です。
しかし、経営者が自己破産すれば、銀行などからの融資は事実上不可能となります。
自己破産したことが信用情報に残ってしまうため、破産後は数年間、金融機関から新たな融資を受けることができない。
融資の問題は解決方法がない訳ではありません。
新会社設立のための資金調達の方法としては、次の方法が考えられます。
・自己資金を蓄えて会社を設立する
・少額資金で事業を開始できる業種も増えています。
・経営者保証に関するガイドラインを適用して新規開業資金を残す
・経営者が会社の債務を連帯保証した分については、「経営者保証に関するガイドライン」を適用した保証整理を行うことも検討。
・信用力のある親族や共同経営者を代表者として新会社を設立する
・代表者以外の役員の信用情報まで審査されることは稀なので、代表者の信用力に問題がなければ金融機関からの融資を受けることは可能です。
・公的機関の「再チャレンジ支援」を活用する
例「日本政策金融公庫」、「信用保証協会」や「商工組合中央金庫」には、過去に事業に失敗した事業家向けの融資制度が用意されています。
(2) 取引先や従業員の確保には倒産の仕方が重要
新会社への事業承継を考えていても、取引先との付合いが無くなれば事業は成立しません。
事業を支える従業員の確保も、中小企業の倒産では大きなな問題です。
取引先や従業員をつなぎ止めておくためには、(旧)会社の「整理の仕方」がとても大切です。
「取引先に迷惑をかけない」、「新会社で働き続けることの不安を払拭」を意識した(旧)会社の整理を行う必要があります。
経営破綻した法人の整理手続は、自己破産だけではありません。
特に、新会社による事業継続(事業譲渡)を念頭においているときには、破産ではなく、「民事再生」や「特別清算」といった、いわゆる「DIP型」とよばれる整理方法を選択することが有益です。
DIP型の倒産処理では、負債・財産の処分を「経営陣が主導して行う」ことができます。
取引先への支払いを金融機関よりも優先して行うことで、今後の取引継続を可能とします。
従業員に対しても、会社の倒産を突然通知するのではなく、倒産に至った経緯や、今後の事業方針・新会社に移行後(現在の会社の負債を整理すること)の経営の見通しを説明することが重要です。