みんな家族 『ALWAYS 三丁目の夕日』 | 嵐屋書店

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本、映画、音楽、ゲーム等について、私なりの的確さで良いところ良くないところをあげていきたいと思います。何か面白いものはないかとおさがしの方の参考になれば幸いです。 Arashi Jun

 六子は集団就職で東京にある鈴木則文が社長のクルマ修理工場兼自宅に住み込んで働くことになった。家族には妻のトモエと息子の一平がいた。工場の向かいには駄菓子屋を営む売れない小説家・茶川が住んでいた……。
 昭和33年、東京タワーができるころの東京の下町を舞台に人情味あふれる人々を描いた映画。

(ここからは観てからのほうがいいでしょう)
 六子は早速仕事をはじめたもののクルマの修理は全くできなかった。則文は履歴書に特技・自動車修理と書いてあったのはウソだったんだと六子を怒った。しかし、自動車修理ではなく自転車修理と書いてあったのを読み間違えていたのだ。則文は六子にあやまった。茶川は元ストリッパーの居酒屋の女将ヒロミに知り合いの男の子・淳之介をあずけられ、しぶしぶ家にひきとった。鈴木家にテレビがきて、近所の人全員が集まってプロレスを見る。ところが途中で消えてしまう。茶川が直そうとするがバラバラにしてしまう。淳之介が母に会いたいというので一平と二人で会いに行くが会えなかった。しかも、帰りの電車代がなかった。一平は母がつぎあてをしてくれたセーターのところをめくるとお金があり、それで家まで帰ることができた。茶川はヒロミに家に来てくれと指輪の箱をわたす。お金がないので中はカラだった。それでもヒロミは泣いて喜んだ。しかし、ヒロミは父の治療費のためストリッパーにもどってしまった。淳之介は父が金持ちとわかり、ひきとられていった。でも、淳之介はすぐ茶川のもとにもどってきた。六子は則文とトモエからクリスマスプレゼントに故郷への切符をもらい、列車に乗ったのだった。

 まず、昭和33年の東京の町並みを再現したVFXがすばらしい。この時代に生まれ育ったわけではないが郷愁をさそわれる。そして近所全員が集まってテレビを見るなど、近所が家族のようだった時代の温かみがでている。個人的には小説家という職業が一番感情移入できる。それは売れてなければ売れてないほど感情移入度は高まる。よって茶川に対する感情移入度は高い。落選の落胆は痛いほどよくわかる。それから世の中カネカネという人が多いなかにあって「お金じゃないんだ」ということを見せてくれたのは嬉しい。全体的には二つの家族のエピソード(ほかに医者の妻子が空襲で死んだというエピソードなどがある)を並べていくというスタイルなのだが、その見せ方がうまかったといえる。日本アカデミー賞などを受賞しているが、多くの人にうけいれられる人間ドラマになっていると言えるのではないだろうか。夕陽

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