潤くんはきちんと靴を揃えて部屋に上がった。
少し酔ってそうに見えたけど…こういうとこはちゃんとしてんだな。
「俺は外で良かったのに〜どしたの家だなんて。ニノんち初めてで緊張すんだけど」
「こんな時間から外行くのめんどいもん。何買ってきてくれたの?」
潤くんはコンビニの袋からサラダやら豆腐やら、全然そそられないものを取り出してくる。
「先約の奴と食ったんじゃないの?それにこの時間に変なもん食ったらまた腹出るぞ」
何も言わない俺の落胆ぷりを、潤くんは感じ取ったらしい。
「はぁ…ありがと」
1時間前。
相葉さんにやっと『そうなんだ』と意味の無い返事をした後、俺は潤くんに電話をしていた。
恋愛相談をしたかったわけじゃない。
飲んで食って忘れたかったわけじゃない。
ただ独りになりたくなくて。
内緒にしてよ?なんて言いながらきっと嬉しそうに俺にLINEしてる相葉さんの隣りには
恐らく翔さんがいて。
こんな時間にしか2人のスケジュールが合わなくて。
無理に知り合いの不動産屋に掛け合って。
まさか2人で住むなんて言えないから適当なこと言いながら
小声で ここは寝室にしたいね、とか話しちゃって。
独りでいたらそんなことを永遠に考えてしまいそうで嫌だった。
「……で、潤くんはなんで急に俺と飲みたいなんて言い出したの」
「そんなのもう知りたいの?」
「…なに『もう』って」
潤くんは伏し目がちに ふふ、と白い歯を覗かせた。
「本題だもんそれ」
「………は?」