あれから数週間が過ぎて。

ドラマだなんだと忙しいにのはウチに来ることもなく、仕事場では翔ちゃんと同じく器用に何事もなかったかのように振る舞われた。

​────翔、ちゃん。

あれ以来懐いていかないおれを、どう思ってるんだろう?

『(ニノも)俺もやめておけ』って言ったことを実行されて、せいせいしてるのかな?
そもそもおれのことなんて気にも止めてないのかな。

絶対モテるもん。
おれみたいな相手はいっぱいいるんだ。
だからおれにも軽くあんなことができたんだ。


ポン、と肩を叩かれて我に返った。
慌ててイヤホンを外して顔を上げるとそこには翔ちゃんがいて。

「わ、なに!?」
「ちょっといい?」

くいっと親指を立てて指された方向は楽屋の外。
唯一楽屋にいた潤くんは特に気にも止めてないようでひたすらノートパソコンをいじっていた。

「あ、ウン…」
断るのもおかしい気がして仕方なく翔ちゃんのあとをついて行った。



何を言われるんだろう。
こんなとこにのに見られたら変な誤解されちゃう…
色んなドキドキを感じていつもより早足になった。


翔ちゃんは打ち合わせに使う部屋を開けると勝手にドア横のプレートを『使用中』にして中に入った。

長めのテーブルに6脚のパイプ椅子。
なんとなく、翔ちゃんの座る席の斜め前に浅く腰掛けた。

「…なに?どしたの?こういうこと外ではしないんじゃないの?」
「いや、最近全然連絡くれないなーと思って」
電話は取ってもらえなそうだし、って笑う。

なんで?おれが連絡しようがしまいが翔ちゃんにはなんてことないじゃん。
どうでもいいことじゃん。
そもそもおれに好かれてるのが迷惑なんじゃないの?

「だって…翔ちゃんがやめた方がいいみたく」
「ニノに乗り換えた?」
「はっ?」
「やめなって言ったよね?」

なに?なんなの翔ちゃん。
なんですぐにのが出てくるの?
にのの何にそんなに引っかかるの?

「べ…別に乗り換えてもないしそんなの翔ちゃんには」

なんでそんなに突っかかって…って、あ。
「しょ……翔ちゃんてもしかしてにのが好きなの?だからおれにやめろとかそういう…」
まだ最後まで言ってないのに翔ちゃんは ぶはっと噴き出して、ほんとに楽しそうに笑った。

「ちょ、待ってなんでそうなるの?やっぱ天然だと発想が違うね」
なにそれ、おれバカにされてる?

「…じゃあなんで…」
「理由なんて後で分かるよ。
……ニノって意外と感情で動いちゃうんだね。そんな奴だと思ってなかったから俺」

​────ああ。
あのとき、おれの中で翔ちゃんは違うって思ったのはこれだ。

「翔ちゃん」
おれのことはどう言われてもいい。
どう扱われてもいい。

「…にのの悪口言わないで」


にののことを悪く言われたのがすごくすごく嫌だったんだ。
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☆おはようございます!

昨日は優しいコメありがとうございました〜♡
お陰様で急に、これまた急に治りまして(^_^;)
土日の予定が潰れただけかーいってなりました。
(長引かなくて良かったんですけど)

鼻水と引き続き甘えんぼ期が続いてますが元気に『日本よいとこ』踊ってます(^-^)
息子はタイトルを知らないので「『じゅんちゅくじゅんちゅく』(を見せろ)」とリクエストしてくるんですが、
これはきっと「ブンブクチャガマ」のことだと思われます。
でも実はママが観たいのは『イン·ザ·ルーム』だよ…( ;∀;)