認めてしまえば楽なんだ。

智くんは別に俺なんか好きでもなんでもない。
潤と付き合ってるのが押しに弱かったからとか、ずっと前から好きだったとか
そんなのどっちだっていいことで。

したくなったら俺んとこに来る。
潤と違ってめんどくさくない俺んとこに来る。

…ただそれだけだったんだ。


「…翔さんならあげちゃってもまた買えるでしょ」

妙に明るいトーンの声に思わず顔を上げた。

「俺にしなよ。そんな奴より俺の方がマシだよ。そのまま潤くんにあげちゃいなよ」

ニノはやっぱり何を考えているのかわからない。
この話のどこをどういう風に受け取ったらそんな前向きな発言につながるのか―――

「愛される資格がないのは大野さんじゃん」

その言葉にハッとする。

「翔さんにこんな想いさせて。潤くんも騙して」

いっそ罵ってくれたら、堕ちるとこまで堕ちたら逆に楽になるんじゃないかと思ってた。
それが俺の贖罪。
偽善者な俺の、自己満の罪滅ぼし。

「もうやめなよそんなこと」

なのにニノは逃げ道を作ってくれるの?

「俺翔さんが好きなんだよ」

また鼻の奥がツンとする。
やばい。泣く。

「どんなことしてようと…何を隠してようと」

そんな優しい顔しないで。
俺じゃなくて潤の味方になってあげて。

そう思うのに。

「翔さんが好きなんだよ」



涙と一緒に何かが剥がれ堕ちてく。

罪悪感なのか

嫉妬なのか

孤独なのか


「…俺じゃだめ?」
はらはらと涙が頬を伝って…

「俺ならそんな辛い顔させないよ」
「ニノ…」

ニノが俺の手をどかして、濡れた頬を包み込む。

「…だめ?俺今すげぇしつこい奴になってるけど」
くしゃって笑うから…俺もつられて笑った。