慌てて靴を脱いでリビングに小走りで向かうと、ソファには座らずに毛足の長いラグにちょこんといたのは紛れもなく…

「智く…」
「お疲れさま。遅かったね?」

智くんはまるで昨日も、その前も毎日こうして俺の帰りを待ってくれてたかのようにそう言った。

「なん…なんでここにいるの?」
「えぇ?いちゃいけない?」

前もこんなことがあった。
確かあの日は潤が智くんに告白したって日で、智くんがそれに応えたって日で。

今日はなに?
潤とそういう関係になったんじゃないの?
身体でも、貴方は応えたんじゃないの?

「だ、だって」
「近くで撮影してたから。会いたくなったの」

会いたくなった?
誰に?
俺に?

潤じゃなくて…俺に?

「ね、メシ食ってきたんでしょ?早くシャワー浴びて来なよ」
智くんは雑誌で見せるような、爽やか過ぎる笑顔でそう言う。

俺の頭の中の混乱を吹き飛ばすような…
まるで考えることが馬鹿らしいと思わせるような…

「ベッドで待ってるから」

嗚呼。
俺の中の醜い感情が化学変化を起こすよう。

醜い感情が、歓喜と期待でどろどろになる。

純粋な愛が。想いが。
黒と混ざって元の姿を変えていく。


どろどろのそれが口から溢れてしまう前に―――
「うん…でもまずはキスして」

貴方の唇で塞いで。





☆うふふふコメントありがとうございます。
翻弄される方、悪魔智を楽しむ方、色々でこちらも楽しいです(・∀・)

全然お返事できませんが必死に続きを書いているのでご容赦くださいませ~!!