「今までありがとう」

君が手を差し出す

僕はその手を握れない

握ったら終わってしまうから
もう二度とその手に触れることはなくなってしまうから

「・・・にの?」

君と目が合う
僕は君に近づいて

僕たち二人は夏の匂いのする夜の中で長い長いキスをした


初めて見た君はまぶしかった
今目の前の君はにじんでる


僕と君の唇が離れる

君はたぶん笑ってた
よく見えないけど笑ってた

愛してる
ずっと一緒にいたい
でも僕と君は離れなくちゃいけない

大人たちが決めたことだけど
だから僕たちは守らなくちゃいけない


ねぇ、にの

・・・うん

またデートしようね?

うん

いつかみんながおれたちを忘れちゃったら

うん

そしたらまたこうやってふたりでいよう?

・・・うん

あいしてるよ

俺も愛してる


君はまた手を差し出す
僕の手が指先に触れる


それじゃあね

愛してる

にの

うん

だいすき

うん、もう行って

いやだやっぱ行きたくない

駄目だよ明日から俺たちはただのメンバーになるんだから

じゃあ明日になるまでいっしょにいたい

わがまま言うなよ

いやだよ

いつか大人たちが文句言えないくらい実力つけて堂々と付き合お?

・・・うん

それまでの我慢だよ

絶対トップになろうね

なろう

だいすきだよ

大好き

じゃあね

またね

あいしてる

愛してる





「にの、くふふ」

君が手を差し出す

僕はその手を握らない

僕より大きくなった君を抱きしめるから

みんなは僕たちを忘れてないけど
トップになれたかなんてわかんないけど


僕たちはきっともうずっと離れない