「潤くんこれが教会なのー!?屋根がまるいよー!」
俺を置いて雅紀は走り出す。
「あれ・・・でも中入れないや」
ガタガタと扉を押したり引いたりする雅紀に近付くと雅紀は振り返って。
「中で潤くんと誓いのキスしたかったのに」
って笑った。
・・・・・・
・・・
かわいい。
かわいい!雅紀の言うとおりここに来て良かった!
一人小さくガッツポーズして振り向くともう雅紀はいない。
「あれっ?雅紀?」
キョロキョロしてると雅紀は白い壁の向こうから顔を出した。
「潤くん猫がいるよー」
見ると2匹の猫。
「そういえばこの前潤くんの映画観たよ。くふふ」
雅紀はその後も景色のいい所があれば駆け出し、土産屋があれば思いついたように立ち寄る。
・・・オマエの方が猫っぽいよ。
「勝手に行くなよ。迷子になったら困る」
手を出すと雅紀はまたくふふって笑って。
「おれはどこにも行かないよ」
って握り返した。
シャワー浴びてここでしか飲めないって言われて買ったワインを持って部屋に戻る。
「・・・雅紀?」
案の定と言うか・・・。
雅紀はベッドに飛び込んだままの体勢で寝ちゃってる。
・・・あんなはしゃいで歩き回るからだよ。
「雅紀~起きてよ~。ワイン飲もうよ~まだ9時だよ?」
雅紀に跨って肩を揺らす。
「ん・・・あと5分・・・」
朝の9時と間違えてるのかな?
「起きないと・・・襲っちゃうよ?」
そのつもりのくせに、一応言ったからねって保険をかけとく。
俺はうつ伏せの雅紀の肩を持ってゆっくりひっくり返した。
「ねむいよ潤く・・・」
そんなこと言わせないよ。
夜も明日もいちゃいちゃするって言ったのオマエじゃん。
ほらその半分開けた目。
完全に誘ってるの、オマエじゃん。