ほんとにタイムマシーンがあったのかな。
俺たちの仲に、氷河期がやってきた。
「・・・戻りすぎだろ」
独り言を言って小さく笑う。
あなたの気持ちに何一つ応えてこれなかった俺が、
俺からあなたに近付くなんて出来なくて。
無意識的に俺もバリアを張っていた。
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「不自然ですねアナタたち」
面白そうにニノが置いてあった雑誌を見て言う。
メンバーのツーショットが散らばる紙面。
抱きついたりはしゃぐメンバーの中に、作り笑顔で並ぶ俺と潤がいた。
ガンッ、と大きな音がして振り返ると潤が置いてあった椅子にキレてる。
「こんなとこに置いとくんじゃねぇよ」
ぶつぶつ言って楽屋の奥のソファに座る。
ニノはやれやれって顔をして小声で言った。
「あの人昨日彼氏と喧嘩別れしたらしいですよ」
・・・ふぅん・・・。
ニノには、話すんだね。
「何人目でしょうねぇ。最初から彼氏なんか作らなきゃいいのに」
何人も、なんだ。
俺はあの日のまま何も変わってないのに。
「あれ・・・ニノそういうの理解あるんだ?」
ふと気になって聞いてみる。
「そういうの?・・・あぁ、まぁそりゃね、世の中男と女だけだし」
ニノはさらりと当然のように続けた。
「別に異性を好きにならなきゃいけない決まりなんかないでしょ」
そんな考えがあの頃の俺にあったらよかったのにな。
そしたら何も怖くなんかなかったのに。
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進む、進む。
それは俺がどんなに叫んでも拒んでも止まることはなく。
い や だ
動けずにいる俺の横を、一人の男の子が通り過ぎた。
あ。
俺より小さくて、半袖のその子はアイスを片手に持っていた。
待って。
言えずにいる俺の横を、一人の男の人が通り過ぎた。
あ。
俺より背が高くて襟足の伸びたその人は、振り返ることなく行ってしまう。
行かないで。
華奢で、ピアスをつけて粋がってる俺の横を次々と同じ男の人が通り過ぎて行く。
戻って来て。
俺も連れてって。
その行く方に、連れてって。
俺の手を掴んで、連れてって。
俺は怖くなってその場にしゃがみ込み、泣いた。