しばらく黙って俺を見てた相葉さんが口を開いた。
「俺だって・・・にののことずっとうらやましかったんだよ?」
「・・・え・・・?」
相葉さんはソファに座る俺の足元に正座して、
俺の膝に手を置いた。
「俺なんてどんなにれんしゅうしてもギターはうまくなんないし
トランプもぜんぜん上達しないし周りのこと見えなくなるし
すっごいどんかんだし・・・」
―――誰もが自分に満足なんてしてなくて・・・
「にのみたく、器用でなんでもこなせて誰からも好かれる人になりたかった」
誰かのこと羨んだり憧れたりしてる。
「ずっとにのみたくなりたかった」
でも・・・俺は俺のままでいいの?
「相葉さん・・・」
「自信もって翔ちゃんのきもちに応えてあげて?」
ぼろぼろと涙がこぼれた。
「にのは器用なのにおれより不器用なんだから!」
ぐりぐりと涙を拭かれ、いてぇよって俺は笑った。
相葉さんの笑顔は、ぴかぴかでまぶしかった。
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それから俺は相葉さんに今すぐ翔さんに会いに行けって言われて追い出された。
マンションを出ると見覚えのある車が止まってて・・・
「ニノ・・・」
翔さんが出てきた。
「ニノと相葉ちゃんの関係が気になって帰れなかったじゃん」
わざとらしく拗ねた顔して翔さんは笑った。
「俺・・・天邪鬼で可愛げないですよ?」
「・・・知ってる」
「素直じゃないし冷たいですよ?」
「知ってる」
翔さんはそっと俺を抱きしめた。
「でもニノが好きなんだ」
俺は目を閉じた。
「ニノだから・・・好きなんだよ」
翔さんのにおい。ぬくもり。その声がすごく心地よかった。
思う存分人を愛せることが、すごく幸せだと思った。