「潤くーん。休みはどうだった?」
はじけるような笑顔で雅紀が走り寄ってくる。
「あ・・・うん、舞台とか・・・行った」
「あれ?なんかつかれてる?」
「いや、大丈夫・・・」
俺は未だに頭の整理がついていなかった。
翔くんが俺に何かするわけではなく、俺がただ翔くんに(口で)しただけ。
終わった後、翔くんは優しく俺を撫でた。
「潤はいい子だね」
そう言って、抱きしめて、頭を撫でてくれた。
起きると翔くんの姿はなくて、テーブルに朝食があった。
酔った勢いであんなことさせた彼なりの謝罪なのか、
それとも・・・・・・ご褒美のえさ?
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「・・・で、あなたは最後までやりたかったの?」
ニノに相談しようか迷ったけど、結局話してしまった。
翔くんの印象が悪くなっちゃうとやだから、一応やったことだけを。
「わかんない。だって俺ペットだから。恋愛関係望まないことが条件だもん」
「するのに恋愛感情はいらないよ?」
「そりゃそうだけど・・・」
軽くため息をつくと、ニノは椅子の背もたれに寄りかかった。
「・・・なんでそんなことしちゃったの」
「・・・流れ」
尋問するようなニノの雰囲気に、俺は思わず目をそらした。
「おかしいでしょ。男なんて無理って人が黙って舐めさせる?
絶対気持ち悪いよ男にそんなんされるなんて」
ニノは頭が良すぎてこういうとき困る。
「あっもしかして翔くん俺のこと好きになってきたとか」
「ないでしょうね」
わかってるよ。
あんな乱暴にさせられて好きなわけがない。
「だからペットなんてやめろって言ったのに。こういう訳わかんないことが」
そこで俺の顔を見ると続きは言わなかった。
「まぁ・・・ペットはご主人様に捨てられないように
せいぜい言うこと聞くしかないでしょうね」
焼酎のグラスをまわし、氷を揺らす。
「ご主人様の笑顔を守るのがペットの役目ですよ」
「笑顔・・・」
俺は時計を見た。
まだ0時前。
「翔くんち行くわ。ありがと」
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静かに玄関を開けて女物の靴チェック。
・・・今日は来てないみたい。
廊下の先のドアから灯りがこぼれ、テレビの音が聞こえる。
俺はドアを開けた。
ソファに座ってた翔くんが振り向いて。
「どこ行ってたの潤。俺の帰り待っててくんなきゃだめじゃん」
そう言って、すんごく優しく笑った。