ゆいちゃんの旦那さんが亡くなった日以来、体調が悪かった。でも、ストレスだと思っていた。

毎月必ずくるものも、遅れていた。それも、ストレスからだと思っていた。

身体のだるさ、眠気、微熱...5年前に経験した症状と同じだった。

【まさか!】

薬局で検査薬を買ってきた。

【どうしよう。翔ちゃんには、知られたら...】

話すべきなのは、分かっていた。でも、翔ちゃんには迷惑かけたくない。ずっと悩んでいた。

「大丈夫?」

優しく聞いてくれる翔ちゃんに話してしまいそうになる。でも、やっぱり言えなかった。

私は、翔ちゃんに内緒で産もうと決めた。翔ちゃんに話そう。

家にくることが当たり前になっていた翔ちゃん。

【お腹が目立つ前には話さないと...】

そう決心して話したあの日。納得しない翔ちゃん。目を見て話すことができなかった。

私は、彼を怒らせたままお別れした。

【これでよかったのよ。このまま、嫌いになってくれたらいい。】

そう思っていた。その後も、翔ちゃんは何度か家に来た。もちろん、居留守をつかった。電話もメールも無視した。

留守電を聞くたび、メールを見るたびに心が痛い。

【会いたい】テレビで彼を見るたびに、気持ちが大きくなる。

家の鍵を返してくれない翔ちゃん。最後にメールを送った。自分の気持ちに蹴りをつけるためにも。

(鍵をここに送ってください。)そんなメールを...。

翔ちゃんからの返信はなかった。

その日の夜、気分が悪く横になっていたらお客さんがきた。

「お母さん、松本さんだって。」

ベッドから起き上がり、玄関のドアを開けた。そこに立っていたのは、いつもテレビで見ていた松本さんだった。

「翔ちゃん、知ってるの?このこと...」

私の少し膨らんだお腹を見て、言われた。

「翔ちゃんには、迷惑かけたくないんです。」

そうお願いした。

「本当にそれでいいの?」

もう一度聞かれた。

「迷惑かけたくないから。」

私は、それしか言えなかった。

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週末に考えていた分だけでもと、アップしました。