妄想のお話です。
~和也~
あみだくじで、例のアメリカ人が勤めていた会社があった建物を見に来ただけなんだ。
俺だけ快速が止まらない駅だったから、途中で皆と別れて現場にい来たんだけど、中々、見つけられなかった。
だって、俺が使ってる地図アプリのデータが古いのか、あちこち建物が変わってるし、道路も拡張したのか変わってるし、そもそも工事で壁に囲われてるし。
仕方ないから、LINEを入れて、写真も送って帰ろうとしたら、変な男ふたりに腕を掴まれた。
とっさにLINEを通話状態に切り替えたけど、スマホを没収されて、拘束された。
ふたりとも俺よりでかくて、抵抗しても無理だと思って、諦めたよ。
俺は、内勤専門なのよ。
大野さん、早く来て。
古さを感じる建物の中に連れて来られたんだけど、すでに捕まってる人がいた。
俺も同じように、椅子に座らされて、ロープで縛り付けられた。
サスペンダーで巨大なズボンを吊ってる男はナイフ、背が高くでがっしりしてる男はカッターを手にしてる。
元力士と、元プロレスラーか?
なんだよ、この、映画みたいな展開は。
「お前は、コイツを助けにきたんだろう?」
いや、コイツ、知らんし。
「違います。俺は、たまたまあそこにいて、あー、工事してるなって、写真撮ってただけです。」
「嘘つくな!」
横を見ても、何も反応してない。
いやいや、コイツも、黙ってないで、何か言えや。
「あの、こんな事して、大丈夫なんですか?
警察来たら、捕まりますよ?」
冷静に聞いてみたら、怖い返事をされた。
「お前ら、生きてられると思うなよ。」
本当に、勘弁して欲しい。
もしかして、本当にお宝があって、それで巻き込まれたのか?