『一夜 隠蔽捜査10』

今野敏 著

(新潮社・2024年1月・図書館)

 

 

神奈川県警刑事部長・竜崎伸也のもとに、著名作家・北上輝記が

小田原で誘拐されたという報が舞い込む。

犯人も目的も安否もわからない中、竜崎はミステリ作家・梅林の助言も

得ながら捜査に挑むことに。

一方、警視庁管内では殺人事件が発生。

さらに息子の邦彦が大学中退に・・・

劇場型犯罪の裏に隠された、悲劇の夜の真相とは。

 

 

隠蔽捜査シリーズ第10弾。

 

今回は誘拐事件発生。

誘拐というと警察と犯人の緊迫したやりとりが定番ですが、

今回はちょっと様子が違いました。

誘拐されたのが著名人ということでマスコミ対応に苦慮していたら、

同業者であるミステリ作家・梅林が協力を申し出ます。

捜査上の秘密を楯に断ろうとしますが、いつの間にやら梅林のペースに。

 

犯人から意外な要求があったかと思えば、

突然に事件は解決。

でもまだそれはページの半分を過ぎたところ。

 

後半はもう真相が読めてきてしまいました。

(ヒントはたくさんありましたからね)

 

ミステリの謎解きとしては、正直、物足りないところはありましたが、

竜崎さんの作家さん評だったり、

伊丹との恒例のやりとり、

大学を辞めたいと言い出した息子・邦彦への対応とか

(梅林さんの助言も良かった)

「一夜」というタイトルの由来だったり、

このシリーズらしく楽しめる作品でした。