第59話 エタン系の始祖

テーマ:

今回も1969年生まれの名馬です。

 

イギリスの馬産家「ミミ・ヴァン・カットセム夫人」によって生産・所有された仔馬は、夫でもある「バーナード・ヴァン・カットセム調教師」に預けられた。

 

仔馬の名は「シャーペンアップ

 

 

父「エタン」は、ネイティヴダンサーの直仔として期待され、デビュー戦を圧勝するもレース中に怪我を負い、1戦のみ引退。

 

その後、アメリカやアイルランドで種牡馬生活するも結果を残せず、日本へ輸入。

 

そのため、馬名表記を本来の「Atan」ではなく「エタン」としています。

 

 

「シャーペンアップ」の配合を詳しく見てみると、父方と母方に「ハイペリオン系」が入っており、母母父・母母母父も「スタミナ型の系統」のため、全体としては「スタミナ色が強い」

 

しかし、祖父の「ネイティヴダンサー」は26話で説明したように、「スピード色」強い系統。

 

本来であれば、スタミナを活かすために、中距離ぐらいからデビューしてもおかしくないが、シャーペンアップのデビュー戦は2歳の芝5ハロン(1000m)から始動したのである。

 

 

 

デビュー戦の芝5ハロン(1000m)は4馬身差の圧勝。

 

2戦目の芝6ハロン(1200m)は1馬身差の勝利。

 

3戦目のハイペリオンS(芝1200m)は3馬身差の完勝。

 

4戦目はシートンデラヴァルS(英G3・芝1000m)に出走し、3馬身差の楽勝。

 

5戦目はミドルパークS(英G1・芝1200m)を頭差で辛勝し、2歳時は5戦全勝。

 

 

 

3歳初戦は、グリーナムS(英G3・芝1400m)に出走し2着。

 

3歳2戦目は、ジュライカップ(英G1・芝1200m)に出走するも、またしても2着。

 

3歳3戦目のナンソープS(英G2・芝1000m)は、6頭立ての6着に敗れ、このレースを最後に引退。

 

 

競走成績は「8戦5勝2着2回

 

 

要するに、祖父のネイティヴダンサーのスピードが強調され、母方のスタミナはハイペースになりやすい短距離でもバテないというスタミナを補う形に。

 

 

引退後は、イギリスで種牡馬入り。

 

種牡馬としてもそれほど期待されてはいなかったが、3年目・4年目の産駒が活躍したことで、「1978年英愛2歳リーディングサイアー」「1979年イギリス繫養種牡馬ランキング1位」などを獲得。

 

1981年には、アメリカ・ケンタッキー州に移動し、一部の産駒はヨーロッパで活躍。

 

1982年には、2度目の英愛2歳リーディングサイアーを獲得。

 

 

 

ネイティヴダンサーの直系は、第38話に登場した「レイズアネイティヴ」を経由して種牡馬として活躍する馬が大半で、実績に乏しい「エタン」を経由して「ネイティヴダンサー」の血を繁栄させることは、この「シャーペンアップ」が最初であり、実質的には「エタン系」という系統の「始祖」でもある。

 

 

ここからは、日本の活躍馬の中から、シャーペンアップの血を持っている馬を紹介。

 

 

2001年エリザベス女王杯勝ち馬「トゥザヴィクトリー」

トゥザヴィクトリーの母母父は「シャーペンアップ」

 

ということは、当然子供たちの「トゥザグローリー・トゥザワールド・トーセンビクトリー」にも「シャーペンアップ」の血は流れています。

 

 

2003年ダービー馬「ネオユニヴァース」

彼の母父は、シャーペンアップの息子「クリス」

 

ネオユニヴァースをご存知の方は、中距離のイメージあると思いますが、実は彼のデビュー戦は「京都芝1400m」

 

これは、トゥザヴィクトリー(デビュー戦は芝1600m)にも言えることですが、「シャーペンアップ」自身は短距離馬として活躍しており、当然スピードはあります。

 

しかし、シャーペンアップの血統配合でも書いたように、本来は「スタミナ色強い」配合ですから、「トゥザヴィクトリー」にしても「ネオユニヴァース」にしても2000m以上の距離に対応できるバックアップとして、シャーペンアップの血が補っている可能性ありですね。

 

「シャーペンアップ」の血は、配合次第で様々なタイプを輩出し、補助する血脈として活躍。

 

 

 

次に紹介する馬も、上記2頭と同じようなタイプ。

 

2013年ローズS勝ち馬「デニムアンドルビー」

トゥザヴィクトリーの「母」とデニムアンドルビーの祖母は同じ「フェアリードール」

 

デニムアンドルビーもマイル戦で2着があったり、阪神大賞典(芝3000m)で2着があったり、距離の融通は幅広い。

 

 

 

先週のセントウルSを勝った「ファインニードル」

この馬に関しては、父方にも母方にも「シャーペンアップ」の血が流れています。

 

 

父「アドマイヤムーン」は、ドバイデューティーフリー(芝1777m)・ジャパンカップ(芝2400m)を勝った名馬

 

「ファインニードル」は、父方・母方に「スピードとスタミナに優れたシャーペンアップ」の血を持っており、少々のハイペースではバテないスタミナを搭載。

 

 

 

「ネイティヴダンサー」→「レイズアネイティヴ」のラインは、「よりスピード重視」

 

「ネイティヴダンサー」→「エタン」→「シャーペンアップ」のラインは、「スピード&スタミナ」

 

 

こういう感じで分類しておくと、仮に短距離馬が距離延長する時でも、対応できるかどうかの参考になると思います。

 

 

 

今回はここまで。

 

 

 

次回をお楽しみに。