資本主義の話 | あらかんスクラップブック

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60代の哀歓こもごも

このところ、梅雨入りかと思う雨模様の毎日。 ところが、今日は朝焼け。久しぶりだと気分がアップしてたら、太陽が出る前に再び曇天。

 

昨日、久しぶりにカフェで熟女?会。 

どんな話になるかというと、夫や子ども(その配偶者も含めて)のグチではない。もう、高齢になると家族なんて眼中にない。 男のほうは爺になると逆に家族にこだわるが…。

 

はい、ほぼ資本主義の話でした。

発端は、ことしのNHKの大河「青天を衝け}。渋沢栄一の伝記ドラマです。 ドラマでは、まだ、時代は江戸時代だけど…。

渋沢は「日本資本主義の父」といわれる人物、日本人が貧しかったときに、その勤勉さ、誠実さ、克己心という美徳を導き、いい世の中にしようとした人という印象がある。 戦後の社会主義的なものではないけど、私は、 みんなが渋沢栄一のような考え方をすると、いい世の中になるかも知れないと思ったりする。 

 

生活保護申請の同行などをたまにしている。  生活保護は年間平均約250万(現金以外にも住宅、医療介護、教育などの扶助がある)の支給があり、困った人はどんどん利用すればいいのだが、一方ワーキングプアの人たちのことが気になる。2020年で、年収200万以下の収入の人は全勤労者の3割、1800万人もいる。

なんで、労働がこんなに安く買いたたかれなければならないのか?

派遣会社という存在もあるが、日本の企業が渋沢栄一的でないのだ。

1995年を一つの指標にすれば、会社の経常利益(儲け)は、約2倍。

その儲けは株主への配当金(約6倍に増加)、内部留保(10倍に増加)。なのに人件費はほぼ横ばい。設備投資も変わらない。

 

ばあさんは、こんなハナシもするんだよ。 それから、東芝やハゲタカファンドなんかの話題がでて、「将来、子どもの将来も含めて、お金を使う気になれない」、「アハハ、内部留保ためこんでんだぁ」…。

会社も将来不安なんだよね。儲けは貯められるときに貯めておこうは、会社も同じ。 設備投資なんぞの冒険はやれない。 株主は目先の利益しかモノを言わない。

 

「株主資本主義、労組はがんばらなきゃ」

でも、労組組織率はもはや17%。もう、経営の圧力団体ではない。

私も、御用組合員だった。パートで、月に2千円も天引きされ、春闘の成果は毎年時給5円アップ。 労組加入のメリットはない。損するだけ。

 

「やっぱ、ちゃんとした同一労働、同一賃金のしくみ作らなきゃ」。

だから、この国にもいちおうあるんだって。 でもこれは、正規雇用の人たちの雇用条件を下げるしくみ。 パートの条件が良くなるわけじゃない。

 

「でも、失業率って増えてないでしょ」

失業なんか、不安でなかなかできないよ。 だから、非正規の仕事でも食いつく人が増えてるんだろ。 1990年に非正規率20%だったのが、今では約4割。 コロナで、ボ~ンと増えて来年は労働者の半分が非正規になったりして、そうすれば、2人に1人はワーキングプアが当たり前の世の中になる。

 

2020年で日本の全世帯(2人以上、すなわち共働き以上)の勤労者世帯可処分所得は、月に49.1万(コロナ給付金除くと 47.1万)1997年が最高で49.7万。 月に1.6万も収入が減ってる。

 

「お金使わないもん。消費税大きいよ。 それに、モノはじわじわ上がっているでしょ。 サラダオイル、小麦粉、マヨネーズ、アーモンド…。お菓子やちくわもなんかグラムが減ってるし…」

「それに、野菜や肉、魚なんかも国産はだんだん高くなっている。 ワカメや昆布、いりこ、鰹節などはもはや贅沢品」

 

おばさんの実感と分析は正しい。 なんやかやで、全世帯の家計消費支出は27.8万(2020)。

収入減れば、支出は減る。 景気は良くならない。

アベノミクスは、大失敗。

アベノミクスの時代、外国の労働者は収入もアップし、支出も増えて右肩上がり。

貯金も増えている。

 

 

「渋沢栄一みたいな経産省大臣がいたらなぁ。 今誰だっけ?」

「知らん」、「知らん」、「知らん」、「アソ―は財務大臣でしょ」

「西村は?」「経済再生大臣!」

 

結局は無いものねだり。

「台湾のようなデジタル担当大臣がいたらなぁ」

 オードリー・タン 台湾IT担当大臣

 

日本のデジタル担当大臣⤵ 名前は知らない

 

カフェでの熟女のおしゃべりは盛り上がり、隣でパソコンを叩いていた女子、 分厚い横書きの本を読んでた若者は、手を止めて聞き入ってました。 いやな顔ではなかったです。

途中で「ごめんなさいね。うるさいわね」と手を合わせてみんなで謝りましたが、「いいですよ」、「気にならないですよ」とニッコリ。

 

いい若者たちだなぁ、それからは声を潜めましたが、3分後には元の音量。 

格差と貧困、資本主義のハナシは、そのあと40分も続き、 解散。 薄暗くなった街へ散らばって帰宅。

 

以上の数字は、総務省統計局のサイトで見られます。

資本主義が悪いのではない。 経営者が全部が全部、敵ではない。

渋沢栄一やマックス・ヴェーバー(1864~1920)の清廉さは、いいもんです。

 渋沢栄一 論語と算盤

 

 

マックス・ヴェーバー

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

 

岩波文庫版⤵

 

大臣はよんだことあるのかなぁ? スガは本は読まないんだろうな…。