ガザニア
老人ホームの入居者で、職員に好かれている人と嫌われる人がいる。
これは、職員間でほぼ一致している。
特に、嫌われる人。
上から目線で、介護職をバカにして、暴言を吐いたり、暴力を加えたりする人。 集団生活を顧みず、自分の要求を通そうと、何度もコールしたり、業務外のことを命令したりする。
職員は、そのような利用者も無視したり、仕返ししたり、虐待したりは、決してしない。 それをいいことに、要求がエスカレートして、困ったちゃんになり、職員から見事に嫌われている人が、どの施設にも存在する。
家族も、そのわがままや気難しさにうんざりして、施設に預けたのかもしれない。 中には、家族も、とんでもないモンスタークレーマで、金払ってるんだから、特別扱いしろとねじ込んでくるのもいる。
介護職員を交えた老人ホームという小さな社会は、一般社会とおなじ、当然、常識的な対人ルールやマナーがある。
暴言ダメよ。 暴力ダメよ。 人を突き飛ばして、割り込んじゃダメよ 。 一人だけ特別扱いはできないよ。 順番を守ろうね…。
小学生ですら、理解できることができないのは、なぜなのか?
介護スタッフは、そういう困ったちゃんに時間を取られていて、業務が停滞してしまうことがよくある。
逆に、その陰で、なんでも我慢して待ってくれる入居者、 職員に鷹揚な入居者、 他の入居者に順番を譲ってくれる入居者もいる。
職員は、そんな人を決してほったらかしにしているわけではない。
介護職というのは心優しくお節介な人が多いから、そういう入居者をいつも心に留めて、感謝し、なにかあれば、恩返しをしたいといつも思っている。 そういう人が好かれる入居者なのだ。
スタッフにいつも感謝し、「ありがとう」と言ってくれる入居者には、こちらこそ「ありがとう」という気持ち。
歳をとって家族と良好な関係にある人は、施設でもおおむね好かれる。 家族もよく面会に来てくれて、外出に同行したり職員の足りないところをおぎなってくれる。
入居者が、その施設に合って幸せに暮らせるかは、入居者自身の問題だと思う。 不機嫌を主張することで、その場をコントロールしようとするのは大きな誤り。嫌われていては本人も安心できない。
こだわりをなくし、人に委ねることが、老人ホーム生活をハッピーにする秘訣。
また、老病死から自由になれる一歩だと思う。
困ったちゃん が原因で職員が離職してしまうのは、よくあること。
対策として、人手不足の施設は、入居者を入居の入口で選別し、困ったチャン予備軍は、排除する時代になった。
金でサービスを買おうというのではなく、終の棲家として、集団生活のなかで、のびのび暮らしていけるのかという視点で、施設選びをしてほしい。