久しぶり!の気がする、正統派 政治サスペンス

 

いつの間にスタート?!もう夏!と驚きながら見ました、水川あさみさんの『笑うマトリョーシカ』。久々の本格派サスペンスじゃないですか?開始早々 渡辺いっけいさんが死んでしまうという衝撃的な展開で緊迫感が一気に高まりました。いいね~。

 

 

「久しぶりの正当派」というところがポイントです。ほんとうに「久しぶり」の大人のサスペンス、ちゃんと事件が計算されたサスペンスという気がします。

ただ「正当派」というのは、ちょっと別の言い方をすると、「懐かしい」、「今どきではない」(下手をすると「古い」)という意味でもあるんですね。

 

 

最近はサスペンスが大流行りですが、あまり怖くないのが多いプンプン 事件の恐ろしさが際立たない、というか、余計な人間関係に焦点がいってる、というか・・・

 

 

たとえば春ドラマの『Destiny』(石原さとみさん、亀梨和也さん)は、今回と似ていますが(学生時代に事件の源があるとか)、サスペンスの緊張感はあまりありませんでした。・・・ほとんど見なかったのであまり言う資格は無いのですけれど・・・ファンの皆様すみません・・・たぶん一番悪かったのは、石原さとみちゃんと亀梨和也さんの おいおいい、どこへ向かってるんだ?という恋愛が、ドラマの中心になったからだろうと思います。

サスペンスに中途半端な恋愛はいらない!(私見ですけれど)

 

 

ちなみに、名作サスペンスといわれるドラマを、ぱぱっと思い出してみても、恋愛要素はほとんどありません。あったとしても、中途半端じゃない、互いに殺し合うかもしれないほどの強い関係性です。中途半端はだめよ、何にしても。

「アンフェア」(篠原涼子)、「シグナル 長期未解決事件捜査班」(坂口健太郎)、「Nのために」(窪田正孝、榮倉奈々)、「BORDER(小栗旬)」、「最愛」(吉高由里子)、「白夜行」(綾瀬はるか、山田孝之)・・・

 

 

 

 

 

  新聞記者が主人公のサスペンスはめずらしい

 

サスペンスで一番多い主人公は、たぶん「警察/刑事」です。意外なのは、今回の『笑うマトリョーシカ』のように新聞記者があまりないことです。日本アカデミー賞をとった『新聞記者』(シム・ウンギョンさん、松坂桃李さん)くらいでしょうか・・・これも実際には官僚(松坂桃李さん)が主役でしたけれど。

 

 

新聞記者のドラマが少ないのは(とくにサスペンスの)、いま新聞のパワーが衰退しているからでしょうか? ドラマは生き物、世の中を映す?

 

『笑うマトリョーシカ』を「久しぶり」、とか、「懐かしい正統派」とか、言うのは、そもそも新聞記者が事件を追うというスタイルが「久しぶり」と感じるのかもしれません。

 

 

刑事と比べて、記者が事件を追うのは難しそうです。警察手帳も「調査権」もありませんから。

初回、道上(水川あさみ)が清家一郎(櫻井翔)のインタビューに無理やり割りこみましたけれど、ハラハラしました、そのくらいの強引さが必要なんでしょうね~。そのあとクレームは入らなかったのでしょうか?気になりました。たぶん清家(櫻井翔)が「まぁまぁ」と収めたのだと思いますけれど。なにしろ、密着取材を許可したのですから。

 

 

うまい展開だ、と思います。

道上(水川あさみ)の懐に 清家(櫻井翔)が飛び込んでいくとは。それは演技なのか、本物のSOSなのか、道上(水川あさみ)にもわからないわけですが・・単純に事件を追うのでなく、あちらから飛び込んでくるという変則パターン、サスペンスにいっきに厚みを生みました。

■原作:早見和真さん「笑うマトリョーシカ」(文春文庫)

■脚本:いずみ吉紘さん、神田優さん

■政治監修:須山義正さん、武田一顕さん

■法律監修:岡本直也さん
■児童福祉監修:永野咲さん
■警察監修:石坂隆昌さん
■医療監修:中沢暁雄さん

■演出:岩田和行さん、城宝秀則さん、小林義則さん
■プロデューサー:橋本芙美さん         
   

 

 

 

 

<ドラマHPから引用します>

抜群の人気を誇る若き政治家と有能な秘書「この2人・・・何かがおかしい」
“得体の知れない不気味さ”気付いた新聞記者が彼らを取り巻く黒い闇に迫る!

 

というサスペンス。

初回を見るかぎり、なんというか松本清張ばりのちゃんとした事件性を感じました。

 

またすみませんけれどえーん、春ドラマの「約束~16年目の真実~」はじっくり事件を追った気合のはいったサスペンスでしたけれど、いかんせん、事件そのものに深味がなかった・・・つまり犯人がサイコパスという結論はアンフェアなんです。『笑うマトリョーシカ』はそうでなくて、ちゃんと人間性とか社会性とか歴史的背景とか、いろいろ含んでいそうな気がします。期待しすぎかも?