( SIDE 尚 ) ~ 蝶の帰る場所 ~
あの日から1週間が経った…。
俺はあれからずっと…キョーコのことを考えていた。
あの日…キョーコが去った後…しばらくして祥子さんがやってきた…。
ミルキちゃんに連絡した時…ちょうどアイツも同席していて…
事情を知ったアイツの…敦賀蓮のマネージャーがキョーコを迎えに来ることになったのだと聞かされた。
祥子さんは茫然と座り込む俺の様子を見て…キョーコの不在を確認すると
「今日はもう…寝なさい。」
そう云って部屋を出ていった。
翌日…無事キョーコが帰ったことを確認したからと聞かされた。
( アイツが迎えに来たのか…)
祥子さんは体調不良を理由に1週間の休みを俺に作ってくれた。
「次会う日までに…元気出して…その顔なんとかしておきなさいよ?
…若いんだから…ね?」
事情を聞かないでいてくれた…祥子さんの気遣いはありがたかった。
だけど…正直、自分が情けなかった。女に振られた位で…
こんな風に自分がなってしまうなんて思いもしなかった。
何もしないで…ただ窓から見える景色に…昔のことを思い出す日々…。
俺は…幼すぎた自分を悔やんだ。
誰よりも俺のことをわかってるのはあいつだけど…
俺はわかってるつもりで…本当はわかろうとしてなかったと気づいた。
あいつがどんな気持ちで俺や俺の両親に向き合っていたか…
あいつの母親が…キョーコにしてきたことを思えば…
我儘なんていえるわけないんだ…。
あいつがどれだけ辛い思いをしてきたか俺は知ってたはずなのに…。
キョーコを一番傷つけたのは俺だ…。
だけど…キョーコが今の姿になって…本音を俺にぶつけてくるようになって…
それが俺には嬉しかった…。
会えば憎まれ口ばかりだったが…そのやり取りが俺は好きだった。
俺の顔色うかがって…俺を喜ばせることだけを考えていた頃と違って…
俺の性格を知ってるからこそ出てくるあいつの言葉に…何度も助けられたしな。
あんな女…他にはいない…。
今…あいつの心には…俺の嫌いなあの男が住んでるんだよな…。
そこは…ずっと俺の場所だったのに…俺が自分で壊した…。
キョーコは…元々古風な女だ。
旅館の女将として…うちのお袋が俺の嫁にするために小さいうちから
仕込んできたから…。
俺の上半身をみるだけで真っ赤になってたような…女だから…
付き合い始めたとしても…そんなすぐにアイツのものになってるなんて
思いもしなかった…。
キョーコ相手に…よくもっ…あのスケコマシヤロー…(←人のことは言えないだろっ)
アイツが…キョーコに本気で惚れてるのは知ってたが…
こんなに手が早いなんて…!!
アイツは…芸能界一いい男って言われてる男なんだぞ!!
そんな奴と付き合ってるなんてばれたら…
…いや…それはキョーコなら平気か…俺で慣れてるもんな…
女のやっかみを買うのは…って…ちげーだろ!!
今は…アイツのもんでも…先はわからねー…まだ諦めんのは早いだろ、俺!!
あいつが…キョーコが言ってたじゃねーか…
キョーコに隙を作らせたのは俺なんだ…。
俺が…
だから…その隙にアイツが…敦賀蓮が入りこんだのも俺が悪いんだ…。
俺が…意地を張って…
キョーコは自分のもんだって…多寡を括って…思い込んでたから…
だから…アイツが…キョーコを女にしたのだって…全部俺の報いなんだ…。
あいつは…夢見る天然記念物的乙女だからな…
初めての男に…操を捧げるような今どき珍しい女だから…
だから…俺のこと…来るのが遅かったって…そう言ったに違いないんだ。
でも…アイツも本気だ…
それにキョーコだって…簡単に堕ちるような女じゃないことくらい…
俺が一番よく知ってる…。
でも…どれだけ考えてみたって…どんなにこの胸が痛くて張り裂けそうでも…
やっぱり…あいつを…キョーコを諦めるなんてできないんだっ…
今までは…キョーコが俺を追いかけてきた…
どんな感情であれ…ずっと俺の後を…今度は俺の番なんだ。
俺がキョーコを追いかける…。
追いかけても…手に入る保証なんてどこにもない…
だけど…俺が弱気でいてどうするんだ…
立ち止まったら…諦めたら…そこで終わりなんだ。
蝶を掴まえるのは得意だったんだ。
絶対に掴まえてやる…
俺から…逃げられるなんて…思うなよ?
負けず嫌いで…諦めの悪いところは…お前とよく似てるだろ?
ずっと一緒だったんだ…お前も…本当はわかってるんだろ?
俺に追いかけさせようと…そうしたんじゃないのか…?
なぁ…キョーコ…お前の帰る場所は…
~ FIN ~
尚ちゃんには…いつまでもキョーコを追いかけて欲しい~~っという願望の元…
こんな感じで~~締めくらせて頂きました~。
まめさん…いかがでしたでしょうか?
ここから更なる 蓮VS尚 長き戦いがあったりなかったり…するんじゃなかろうか~~。
とりあえず…キョコちゃん…「小悪魔になる」の技を会得しました!!( ´艸`)
というわけで…いろいろ迷走しつつもなんとか終了です!!
いや~…行き当たりばったりで妄想してるから…(^▽^;)
途中ちょっと流れがおかしいかもしれないけど…許してね~。
みーでした。