こんにちは。公認心理師の石川美樹です。
今日は、ある専業主婦のクライアントさん(仮名:Nさん)のお話をご紹介します。
彼女の口から最初に出た言葉は、
「自分のために時間を使うと、罪悪感が出てくるんです」
というものでした。
特別に誰かに責められているわけでもない。
それでも、なぜか「自分を楽にしてはいけない」「何かしないといけない」
という気持ちが、いつも心の奥に根を張っている。
自分のための時間を持つと、
心のどこかがざわざわして、落ち着かなくなる。
「私は何もしないで、こんな時間を過ごしていていいの?」
そんな思いがいつもつきまとう。
——これは、彼女だけの問題ではありません。
とくに「専業主婦」という立場にいる多くの女性が、同じような苦しさを抱えています。
本当は、もっとゆるく幸せに暮らしたいのに…
Nさんには、ご主人とお子さんがいて、特に大きなトラブルはありません。
ただ、ご自身でお仕事はしておらず、いわゆる「専業主婦」という暮らしをしています。
「夫はやさしいし、子どもも元気。
それでも、私は毎日“何かしていなきゃ”って焦ってしまうんです」
そんなNさんに、私はゆっくりと問いかけました。
「その“焦り”って、どこから来ていると思いますか?」
—
すると彼女は少し考えた後、こう答えました。
「……仕事していないから、楽になっちゃいけない気がするんです。
自分だけ温泉に行くとか、友達とランチに行くとか、
そういうことに罪悪感があるんです。」
—
では、その“罪悪感”はどこから来ているのでしょう?
その問いをもとに、セッションでゆっくりと彼女の記憶を紐解いていきました。
思い出した「母の強さ」と「父の怒り」
セッションの中で、彼女はぽつりぽつりと、幼い頃の記憶を語り始めました。
—
「うちの母は、当時では珍しく働く女性でした。
薬剤師として働きながら、家事も育児もちゃんとやっていて、
すごく尊敬していました。」
でもその母の生き方を、父は認めていませんでした。
—
「女が仕事をするなんて、家事も育児も完璧にしてからにしろ」
そんな父の言葉に、母は何度も反論し、そして衝突していました。
ある日、母が夕食の支度が少し遅れたことで口論に。
ついには、父が母に手を上げてしまう場面も——。
—
「その時、私は怖くて、ただ黙っていることしかできませんでした。
何も言えなかった。でも…それが日常でした。」
「母みたいにはなりたくない」と思った私が、
いつの間にか父の言葉に縛られていた
Nさんは、そんな家庭の中で育ちながら、
無意識にひとつの結論を出していたといいます。
「私は母みたいに、仕事と家事の両立で疲れ切って、夫と喧嘩するような人にはなりたくない。
だからこそ、結婚したら専業主婦になって、家族を大切にしていこうって決めたんです。」
それは、彼女なりの“幸せの選択”だったのです。
—
しかし皮肉なことに、専業主婦になった彼女は、
今度は父の言葉に苦しめられるようになりました。
—
「専業主婦なのに、家事が完璧じゃない」
「自分で稼いでいないのに、旅行やランチなんて贅沢だ」
「そんなことしたら、父に怒られる…いや、誰かに責められる気がする」
—
頭では「今はそんな時代じゃない」と分かっているのに、
心が言うことをきかない。
その理由は明白でした。
幼少期に染み込んだ「父の価値観」が、無意識のブレーキになっていたのです。
⸻
「ごめんね。
本当は、あなたも楽しんでいいんだよ。」
このブレーキに気づいたNさんは、
セッションの中で、涙を流しながら自分自身にこう語りかけました。
—
「私、頑張ってきたよね。
母を見て学んだこともたくさんあったけど、
同時に“苦しみ”まで無意識に引き継いでしまってたね。
でももう、自分を責めるのは終わりにしたい。」
彼女がそう決意した時、
石川メソッドの核心である、心にブレーキをかける価値観を解除することで、
「専業主婦でも、幸せになっていい。
自分を満たす時間があっていい。
私の価値は“働いているかどうか”では決まらない。」
—
そうやってNさんは、静かに、自分を許すことができ、
また、
⸻
その後の変化
セッションから数週間後、彼女からこんな報告をいただきました。
—
「美樹先生、先日、1人で近くの温泉に1泊旅行してきました!
ずっと夢だったんです。
はじめは罪悪感もあったけど、
“楽しんでいいんだよ”って自分に何度も声をかけて、思い切って行きました。」
—
「気がつけば、帰ってきてからの家事もすごく楽しくて、
自分の心が満たされると、家族に自然と優しくなれるんですね」
—
心からうれしいご報告でした。
⸻
最後に:あなたも、
無意識のブレーキを外してみませんか?
もしかしたらあなたも、
「何かをしていないと落ち着かない」
「自分のためにお金や時間を使うと罪悪感が出る」
そんな感覚に悩まされていませんか?
—
でもそれは、あなたが悪いわけじゃない。
ただ、幼少期に身につけてしまった「価値観」が、今のあなたを縛っているだけかもしれません。
—
もしそのブレーキをそっと外して、
「本当の自分」とつながることができたら——
あなたの毎日は、もっと軽く、もっと自由に変わっていくはずです。
—
私のカウンセリングでは、
あなたの奥にある「傷ついたままの自分」を見つけ、
優しく癒しながら、本来のあなたを取り戻すお手伝いをしています。
💠 ご相談・ご質問もお気軽に
→「石川美樹 お問い合わせ」で検索
または下記URLをコピーしてご覧ください:
https://resast.jp/inquiry/4002