こんにちは。公認心理師の石川美樹です。
本日は、
「私なんて幸せになれない…」と思っていた私が変われた理由
についてお話ししたいと思います。
幼少期の心の傷と「幸せになってはいけない」という無意識の怖れ
Aさんは、幼少期にいつも寂しさを感じていました。お姉さんはわがままでヒステリックで、両親はそんなお姉さんにかかりきり。Aさんは比較的聞き分けの良い子だったため、いつも「後回し」にされ、気持ちを受け止めてもらうことが少なかったのです。
その時のAさんは、「どうせ私の気持ちなんて誰も気にしてくれない」と諦めることで、自分自身を守りました。何かを期待すればするほど、叶わなかった時の悲しみが大きくなる。だから、最初から「もう何も期待しない」と決めてしまったのです。
しかし、この「諦める」という方法が、大人になってからもAさんの人生に影響を与えていました。
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繰り返される「ほっておかれる」状況
大人になったAさんは、なぜかいつも「私はほっておかれ、周りの人ばかりがちやほやされる」という状況に直面していました。職場でも、友人関係でも、恋愛でも、「他の人は何もしなくても気にかけてもらえるのに、私は誰からも気にかけてもらえない」という思いが強くなっていました。
その一方で、Aさんは「幸せになりたい」と願っていました。にもかかわらず、自分からこの状況を変えようとすることに、どこか無力感を感じていました。「どうせ変わらない」「頑張っても報われない」という思いが、Aさんを動けなくしていたのです。
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「幸せになるのが怖い」という無意識のブレーキ
Aさんがこの状況を深く掘り下げていったとき、彼女の心の奥底にある「ある感情」に気づきました。それは、「私が幸せになるのは怖い」という無意識のブレーキでした。
なぜAさんは、幸せになることに怖さを感じていたのでしょうか?
それは、幼少期の「寂しい思いをしている小さな自分」が、今も心の中にいたからです。
「私は、ずっと我慢してきた。だから、私だけが幸せになってはいけない」
「私は寂しかったのに、今さら幸せになっていいの?」
このように、幼少期のAさんが悲しみを抱えたまま心の奥に取り残されていたのです。
Aさんの無意識は、「過去の自分を置き去りにしてはいけない」と感じ、あえて「幸せにならない」ことを選んでいました。つまり、彼女の現在の苦しみは、「幼少期の自分を守るため」に無意識が作り出していたものだったのです。
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幼少期の自分を癒し、「幸せになっていい」と許可を出す
Aさんは、何度もカウンセリングを受けながら、過去の自分と向き合いました。
幼い頃、寂しい思いをしていた自分に寄り添い、「寂しかったよね」「本当は、甘えたかったよね」と、その子の気持ちをしっかり感じてあげました。
そして、「もう大丈夫だよ」「どんなに寂しい思いをしても、あなたは愛される価値がある」「私はあなたを幸せにするよ」と、自分自身に優しく語りかけました。
すると、Aさんの心の奥にいた「幼少期の自分」が、少しずつ安心していくのを感じるようになりました。
何度もこの癒しのプロセスを繰り返し、やがてAさんは心の底から「私は幸せになっていい」と思えるようになったのです。
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理想のパートナーとの出会いと、新しい幸せ
Aさんが「私は幸せになっていいんだ」と思えるようになった頃、理想のパートナーに出会いました。
これまでのAさんなら、「どうせ私なんか…」と無意識に幸せを遠ざけていたかもしれません。しかし、心の奥にいた「幼少期の自分」を癒したことで、Aさんは自然に愛を受け取ることができるようになっていました。
「こんなに大切にされるなんて、今までの私なら信じられなかった。でも、今は心から思える。私は、幸せになっていいんだ」
Aさんは、ようやく心からの幸せを感じられるようになったのです。
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まとめ:過去の傷を癒すことで、未来の幸せを受け取れる
Aさんのように、「なぜか幸せになれない」と感じている人は、無意識の中で「幸せになってはいけない」と思い込んでいることが多くあります。
その原因の多くは、幼少期の「寂しさ」「悲しさ」「愛されなかった記憶」です。
しかし、過去にどんな傷があっても、それを癒すことで「幸せになってもいいんだ」と心から思えるようになります。そして、その思いが現実を変えていくのです。
もしあなたが、「なぜか報われない」「なぜか大事にされない」と感じているなら、一度自分の心の奥を見つめてみてください。
過去の自分に優しく寄り添い、「私は、幸せになっていい」と伝えてあげましょう。
それが、幸せへの第一歩になるはずです。